PR
【質問3】自動車メーカーがMaaSの事業化によって、どのような企業にどのような新たな商機が生まれると思われますか?
【回答】あらゆる企業にさまざまな商機が生まれるだろう。しかし・・・

 e-Palette Conceptが、個人の移動にとどまらず、物流や物販、ホテル、病院に至るまで多目的の用途をサポートするオープンかつフレキシブルなプラットフォームであったとする。そして、広範囲で活用できるモビリティー・サービスならば、カーシェアリングやカーライドという第一段階のB to CのMaaSから脱皮して、商売指向のあらゆる企業にさまざまな商機が生まれるだろう。

 時代の先端を行くネット通販のボトルネックになっている商品配達というネット社会らしからぬ旧態依然たる業務に関しては、量子コンピューターが導入されれば、セールスマンならぬ宅配業者の巡回問題も解決するだろう。

 豊田社長はCESスピーチの中で「現在は、お店まで行かなくてはいけませんが、将来はe-Paletteにより、お店があなたの元まで来てくれるのです」と話している。トヨタのコマース・モビリティーを画期的な発想として手放しで絶賛している自動車評論家もいる。しかし、スーパーもない田舎では、既に移動店舗が離散した家々を巡回しているし、介護入浴サービス車両さえも訪問してくる。本稿著者の近所の広場には、毎週決まった日時に、移動図書館、焼き鳥・たい焼き・メンチカツ・たこ焼き・おでん・弁当などの屋台、インドカレー・レストランやラーメン屋のキッチンカー、コーヒー豆屋、雑貨屋、古着屋などのワゴン車がやってくる。農家は農産物を、網元は海産物を軽トラックの荷台で販売する。たまに来るから重宝もするが、これが自動運転EVに変身して、街中常時巡回されてはたまらない。

街中を店舗が走り回るのはエコなのか?

 e-コマース・モビリティーによって、今まで固定していた物品販売店舗やレストラン、ホテル、病院などさまざまな商売がハコ物に乗って街中を走るというのは、MaaSの基本思想に反する売上台数至上的な発想だ。それにより生じる交通渋滞やライフスタイルの変化に対して、どのように対処するかを含めてスマート社会全体に対する総合的な長期ビジョンを示すべきだろう。量子コンピューターを活用して渋滞緩和を図り、社会をこのように変革するというビジョンを既に示している自動車メーカーや研究機関もあるのだから。

 自家用車の運転手向けが中心の自動車保険も、自動運転のMaaSに合わせて全く新しい形態の保険に変身するだろう。既存の環境でも新参者のネット損保が急成長してきたように、新規参入のチャンス到来だろう。自動運転で運転手がいなくなれば責任はだれが負うのか、保険料はだれが払うのかなど保険の基本を再定義する必要がある。自動運転車でなければ、ドライバーの運転技量や習慣、履歴などの情報がクラウドに吸い上げられ、今までとは全く違う保険料計算の尺度による保険が生まれるかもしれない。そこに商機が潜んでいるだろう。