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【質問3】量子コンピューターの活用で、半導体産業のビジネス運営や技術開発には、どのような波及効果があると思われますか?
【回答】AIを軸とした自社の競争力強化と事業領域の拡大

 先述した通り、私が有望視している量子コンピューターの活用領域はAIの領域である。AIについては、日立製作所などの先進的な企業で、既に業界に先駆けてビジネスへの応用が始まろうとしている。

 例えば、プロセス処理装置のレシピの作成。数十のパラメーターをエンジニアの勘と経験で調整するのではなく、今後は人工知能によって最適化することとなろう。半導体ウエハーのパターン画像解析とマスクやプロセスへのチューニングもAIの活用によって、より効率的にできよう。

 とある半導体製造装置メーカーでは、半導体製造装置をネットワークでつなぎ、稼働状況や製造条件などを遠隔管理するサービスに着手した。既に特定の顧客と実証試験を進めており、2019年第3四半期までに一部事業化を目指す。

 また、とある国内の半導体メーカーは、AI技術を搭載した半導体を、半導体生産ラインに設置して、高精度な異常検知ができるようにし、将来は売上高150億~200億円の事業に育てようとしている。既に自社工場で実証事件を行っている。

 同社のAI半導体は生産ラインからセンサーで取得した電流や電圧、振動といったデータを収集してパソコンなどに送り、設備の異常を判断する学習モデルを作成する。そのモデルをAI半導体に書き込むことで、ラインの稼働データから高精度に異常を検知する。これまでは低減することが困難だった、正常に稼働している装置を異常と判断してしまう「虚報」についても、AI半導体を使用することで、月間50回からゼロに抑制できたという。

 また、半導体に代表される大型製造ラインの最適な生産管理にも使えよう。現在、半導体ラインでは、某最大手メーカーですら、大量のMESデータを持て余し、ウエハーがいたるところでスタックしている。半導体のウエハー物流の最適化は、AIなどが得意とし、かつ大きな業績への貢献が見込まれる領域である。

 量子コンピューターは半導体業界のAI活用の道を大きく開くものとなろう。