思い通りの行動をしない自分の子の様子を見て、ただ声を荒げて怒っている自分にハッと気が付くことがある。ただただ自分の未熟さに恥じ入るばかりだ。そもそも、自分が思い描く行動なんて、過去の成功体験に基づくものでしかない。時代と状況が違う世界を生きる子に、本当に伝えるべき成功体験なのか、無思慮なまま押し付けていることがほとんどだ。そして、子は、いら立つ人間の姿だけをどんどん学習し、ともすれば怒られたことで自信さえ失ってしまう。
苦況の中にある多くの企業の常として、どん底にいたシャープには数々の叱咤激励の言葉が浴びせられた。もちろん的を射ていた言葉も多かっただろうが、無責任で無思慮な言葉も多かったのではないか。その中で、シャープの社員たちの心中は、どのようなものだったのだろう。ただ怒られている子供のような心境ではなかったか。
シャープの復活劇を勝手に評価し、復活した同社が得た未来について議論している今回のテクノ大喜利。5番目の回答者は、テカナリエの清水洋治氏である。苦況の中にあった企業に生きた経験を持つ同氏は、シャープ社員の目線から鴻海の傘下に入った意義を洞察した。そして、明るい同社の未来に向けた提言も提示している。
テカナリエ 代表取締役 技術コンサルタント
