シャープの中核事業であるフラットパネル・ディスプレー(FPD)では、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)グループと韓国LG電子(LG Electronics)グループが圧倒的な事業競争力を誇っている。
確かに、シャープは液晶産業を立ち上げる上で大きな役割を果たした。しかし、自滅とも言える舵取りの失敗から、今ではこうした競合とは大きな差がついてしまった。業績が回復してきたとはいえ、今も競合との位置関係に変わりはない。しかも、液晶以外のビジネスを総合して企業体力を比べると、その差はさらに広がる。この点は、投資の規模と的確さがビジネスの強さに直結しやすいFPDビジネスでは、シャープがとても一息つけるような状況にないことを意味している。
シャープの復活劇を勝手に評価し、復活した同社が得た未来について議論している今回のテクノ大喜利。6番目の回答者は、東海東京調査センターの石野雅彦氏である。同氏は、台湾の鴻海精密工業の傘下に入ってからの数々の施策によって苦境を脱し、将来に向けた多くの布石を打てたことは評価しながらも、FPD事業では競合の背中が見えていない現状を指摘。ここを原点とした一層の奮起を期待している。
東海東京調査センター シニアアナリスト
