2018年3月18日、配車サービスの米ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)が公道で試験していた自動運転車による、死亡事故が発生した。また、3月23日にも米テスラ(Tesla)の「Model X」で、半自動運転機能作動中の死亡事故が発生した。現時点で公道を走る自動運転車の台数は極めて少ないはずだ。しかし、意外と頻繁に事故が起こり得ることを世界中に印象付けた。
現在、世界中で発生する自動車事故で亡くなる人の数は、年間125万人にも達する。これほど多くの死亡事故が定常的に起きる製品を一般消費者向けに販売できていた理由の1つに、ほとんどの事故の原因がドライバーや周辺環境にあることと主張できるまでに、自動車業界が万全の安全対策を施してきたことがある。自動運転車の技術開発が進めば、当然、不幸な事故が大幅に減ることが予想される。その一方で、万が一事故が起きれば、メーカー側の責任が問われる度合いが高まる可能性が高い。投入する自動運転技術のレベルや装備の性能が安全性を大きく左右するからだ。
現状の自動運転技術の開発は、安全第一の自動車業界ではなく、ドッグイヤーで進化するIT業界や半導体業界の作法で進められている。懸念されていた死亡事故が現実に起きたことを契機に、技術開発の進め方をもう一度冷静に見直す必要があるのかもしれない。今回のテクノ大喜利では、現在の自動運転車開発の進め方に感じる危うさや、一層の安全確保に向けて考え直すべきことなどをブレインストーミングした。最初の回答者は、服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏である。同氏は、IT機器や家電製品の開発手法で、安全性について安易にとらえて自動運転技術の開発が進んでいることに警鐘を鳴らしている。
服部コンサルティング インターナショナル 代表

2.自動運転における安全基準に関する各社ばらばらな独自判断と技術の装備