CPUコアの勢力図は、IT分野の「x86」と組み込み分野の「Arm」が二分。それぞれの分野で独占的な体制を築いている。こうした中、CPUのオープンな命令セット・アーキテクチャー(ISA)である「RISC-V(ファイブ)」に注目が集まっている。
RISC-Vの管理団体であるRISC-V Foundationのメンバーは、100の企業や団体を越えるまでに膨らんだ。しかもそこには、米グーグル(Google)、米マイクロソフト(Microsoft)、米IBM、米エヌビディア(NVIDIA)などといった、そうそうたる顔ぶれが並んでいる。さらに、インドが国家ISAに採用、米国防高等研究計画局(DARPA)もセキュアマイクロコントローラーに採用と、国家レベルでRISC-Vを採用する動きも出てきている。
RISC-Vは、カリフォルニア大学バークレー校が研究用に開発した5世代目のISA。ライセンスフリー/ロイヤリティフリーで利用できることが最大の特長であり、加えて、(1)命令セットがシンプル、(2)まっさらな状態から作られたしがらみのないISA、(3)実装次第でマイコンから科学技術計算などHPC(高性能計算)までスケーラブルにカバーできる、(4)命令セットの拡張や特殊化が容易で特定用途での高性能化が可能、などユーザーにとって魅力的な数々の特長も備えている。
今回のテクノ大喜利では、特に組み込みシステムへの応用を中心にして、「RISC-Vは、Armの牙城を崩せるか?」をテーマに、RISC-Vの活用シーンとCPUコアの勢力図、そしてそのインパクトなどを議論する。最初の回答者は、野村證券の和田木哲哉氏である。同氏は、現在の組み込みCPUコアに求められていることを考察し、時代の要請に応えるCPUコアとしてのRISC-Vの適性を論じた。
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター
