米中貿易摩擦が激しさを増している。かつての日米貿易摩擦では、日本企業は直接米国の要求に対峙していた。今回の米中貿易摩擦では、直接の当事者ではないが、両国との取引が多い日本の電子産業に及ぶ影響は大きそうだ。
米商務省は、2018年4月16日、米国企業による中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)との取引を、今後7年間禁止する決定を下した。米国の輸出規制に違反し、ZTEが米国からイランや北朝鮮に通信機器を輸出していたことを受けた決定だった。だが、6月7日には巨額の罰金支払いを条件に、制裁解除を発表した。こうした揺れ動く状況に、当事者であるZTEだけではなく、同社の取引先も翻弄される結果になった。
こうしたZTEの取引停止事件の顛末の背景には、ハイテク製品全般での自国の優位性を、両国の力の差がハッキリしているうちに永続的なものにしておこうとする米国政府の狙いが透けて見える。今回のテクノ大喜利では、激化する米中貿易摩擦の日本企業への影響と、これによって、大きく、コロコロと変わる市場環境下での身の振り方を議論した。最初の回答者は、野村證券の和田木哲哉氏である。同氏は、ハイテク産業の育成を目論む中国と、その阻止を狙う米国のそれぞれが行う施策を考察し、日本の虎の子産業である半導体製造装置の分野にも摩擦の火の粉が飛ぶことの懸念を示している。
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター
