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 IoT向け無線通信手段として期待されているLPWA(Low Power Wide Area)の本格的なサービス提供が続々と始まっている。

 既存の携帯電話向け基地を活用するセルラー系LPWAサービスでは、KDDIが2018年1月にCat.M1対応のサービスを開始したのを皮切りに、ソフトバンクも同年4月にNB-IoTとCat.M1の商用サービスを開始。NTTドコモも既に法人向けのサービスを開始している。

 セルラー系LPWAは、NB-IoTでは上り27kbps、下り63kbps、Cat.M1では同0.8Mbpsと1Mbpsと低速だが(いずれもソフトバンクのサービスの場合)、バッテリーで数年間利用できる省電力、10kmを超える長距離無線通信、しかも1回線当たり月額10円程度と低料金。医療用生体情報やインフラの老朽化、農地のモニタリングなどでは、大容量の通信を頻繁に行う必要はない場合が多く、利用シーンが一気に増える可能性を秘めている。

 さらにLPWAには、LoRaWAN、Sigfoxなどライセンス不要で基地局を設置できる非セルラー型の規格もある。既に数多くの事業者がサービス提供を始めており、海外では利用実績が増えてきているという。今回のテクノ大喜利では、LPWAのサービス提供が本格化することによるIoT応用の広がりの方向性、さらに関連サプライヤー企業に生まれる商機などについて議論する。1番目の回答者は、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) パートナー
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)  世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。
【質問1】LPWAサービスの本格化によって、どのような分野でのIoT応用が進むと思われますか?
【回答】超少量データを活用するインフラ監視や農業
【質問2】LPWAは、半導体・電子部品のサプライヤーにとって、スマートフォンに匹敵するビジネスになる可能性があると思われますか?
【回答】 LPWAだけで解決できる課題は少なく、市場形成に時間を要する可能性あり
【質問3】規格が並立するLPWAですが、特定規格に収束し、業界標準が生まれる可能性があると思われますか?
【回答】事業投資効率から考えると、少数規格へ収れんする可能性が高い