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 韓国サムスン(Samsung)グループは、2018年8月8日、2018年から2020年までのグループ企業の開発・設備投資計画を明らかにした。総額は、3年間で180兆ウォン(約18兆円)という巨額なものだ。そのうち、約6割を半導体、1割を液晶・有機ELパネル、その他3割をスマートフォンや家電の分野に振り向けるとする。そして、同社が「4大未来成長事業」と呼ぶ“AI”“バイオ”“5G”“車載部品”の育成を加速するため、25兆ウォン(約2兆5000億円)を重点的に投じる予定である。

 機敏な意思決定に基づく大胆な投資が持ち味の同グループは、今や世界の投資王となった。同グループの代表的企業であるサムスン電子(Samsung Electronics)が2017年に投じた設備投資は、半導体の旺盛な需要に背中を押されて、440億米ドル(約4兆9300億円)と2016年比で倍増。これは、2位の中国石油天然気(ペトロチャイナ: China National Petroleum)の290億米ドルを約50%上回るぶっちぎり1位の投資額である。

 Samsung Electronicsをはじめとする同グループ企業は、半導体、液晶・有機EL、5G、バイオなど、巨額の資金を要するビジネスをあえて選んでいる。ただし、Samsungといえど、無尽蔵にお金が湧いて出る財布を持つわけではない。有望市場の中から、投資すべき時期と分野を冷静に選んで投資しなければならないだろう。実際、現時点での市況を考えれば、NANDフラッシュやDRAMのビジネスは押せ押せの状況に見えるが、2018年に入ってNANDフラッシュへの投資額の減額やDRAMの投資計画を先送りなど、微妙なアクセルワークをしていることを伝える報道が目立っている。

 今回はテーマでは、投資王Samsungの目線から、好況が続くメモリー市場の位置付けと同社の投資資金のやりくりが同市場に与える影響を議論した。最初の回答者は、野村證券の和田木哲哉氏である。同氏は、短期的な市況の変化に合わせた投資調整をしているSamsungの動きに、市場を先導するメーカーらしからぬ判断の誤りを嗅ぎとっている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
和田木 哲哉(わだき てつや)
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター
和田木 哲哉(わだき てつや)  1991年早稲田大学 教育卒。東京エレクトロンを経て、2000年に野村證券入社。アナリストとして精密機械・半導体製造装置セクター担当。2017年、Institutional Investor誌 アナリストランキング1位、日経ヴェリタス人気アナリストランキング 精密半導体製造装置セクター 1位。著書に「爆発する太陽電池産業」(東洋経済)、「徹底解析半導体製造装置産業」(工業調査会)など。
【質問1】現時点でのSamsung Electronicsは、メモリービジネスでの投資が調整局面にあるように見えます。これは正しい判断だと思われますか?
【回答】大間違い。現在のDRAMビジネスでの営業利益率70%は異常値とわきまえよ
【質問2】Samsung Electronicsが取り組むビジネス領域(半導体以外も含めて)の中で、現時点でもっと積極投資すべきと思われる分野はどれですか?
【回答】 SDGs関連事業という観点から、低消費電力型サーバー
【質問3】巨額投資案件を数多く抱えるSamsung Electronicsの、メモリービジネス専業のメーカーに対するメリットもしくはデメリットは何だと思われますか?
【回答】好悪両面存在するが、現段階ではメモリー事業競争力強化の上で非専業のメリットは大きい