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 2018年5月25日、EUの強力な個人情報保護規制である一般データ保護規則(GDPR、General Data Protection Regulation)が施行された。SNSやEコマースといったネットサービスを提供する際、EU域内のユーザーの個人情報の取得とその利用を大きく制限する規制であり、国境をまたいでの個人情報収集にも厳しく対処することが明記されている。GDPRのような個人情報保護強化は、世界中で同時に起きている動きである。日本でも、改正個人情報保護法が2017年5月30日から施行され、監視カメラで撮った顔の生データだけでなく、顔のパーツの形や配置などから抽象的な特徴量だけを抽出しても、個人情報とみなされるようになった。

 今や、検索サイトやSNS、ECサイトなど、ネットで取得した個人情報を基にして高付加価値サービスを提供する企業は、IT産業や電子産業の成長をけん引する存在である。世界の時価総額十傑のうちの7社、つまり米アップル(Apple)、米アルファベット(Alphabet)、米マイクロソフト(Microsoft)、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)、中国テンセント(Tencent)、中国アリババ(Alibaba)、米フェイスブック(Facebook)がこうしたビジネスを営む企業だ。さらに今後は、IoTの活用が広がり、生活者の赤裸々な行動や素性を扱うサービスやシステムが増えることだろう。また、ビッグデータ解析やAIによる個人情報の取り扱いは、生活や社会活動の様々な場面で当たり前のように行われると思われる。

 高付加価値なネットサービスの開発と個人情報保護は、切り離して考えられないものになった。これまでネットサービスで実績を上げてきた企業は、「とりあえずサービスを開発して、怒られたら迅速に改善すればよい」といったスタンスでビジネス開発してきたように見える。しかし、だんだんこうした手法が許されなくなってきた。

 今回のテクノ大喜利では、個人情報保護強化の動きによる、現在のITサービスと将来のIoT関連サービスに対する影響、さらにはネットサービスの発展を前提に成長シナリオを描く電子産業各社への影響について考えた。最初の回答者は、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。同氏は、個人情報保護強化の動きが、IT業界の覇権を決める根底の部分に大きな変化をもたらす可能性を示唆している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) パートナー
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)  世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。
【質問1】個人情報の保護を強化する動きによって、IoTやAIに関連したビジネスの成長・発展はどのような影響が及ぶと思われますか?
【回答】データ関連ビジネスのパラダイムそのものが変わる
【質問2】個人情報を保護する規制が強化される中、個人情報を活用したサービスやシステムの開発を考える企業は、どのように対策すべきと思われますか?
【回答】よりきめ細やかなビジネスに向けた企業文化レベルの変革が必要
【質問3】個人情報の保護を強化する動きが広がっていることで、半導体や電子部品、ソフトウェアなど、関連サプライヤーにはどのような影響があると思われますか?
【回答】ユーザー主権強化の中での好機も期待

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