PR

 Appleはユーザー体験を売る会社である。同社の製品やサービスを利用した時の体験ももちろんのこと、購入直後の製品を収めた箱の質感やセットアップの簡単さなどあらゆる場面での体験が丁寧に作り込まれている。新製品が発売される度に、“開封の儀”と呼ばれる箱から製品を取り出す一連の儀式の様子を撮した動画がYouTubeにあふれるのには、こうした背景がある。

 ユーザー体験も、同社ほど仔細にわたってユーザー体験を作り込んでいる企業はないのではないか。ハードウエアだけで見れば、同社製品よりも優れた体験を提供できる企業はあるかもしれない。ソフトウエアやサービスについても同様だ。しかし、それら商品を構成する要素が絶妙に調和した、「魔法のような」体験を提供できるところに、同社が時価総額世界一となった要因があるのではないか。逆に言えば、ハードウエアの魅力、ソフトウエアの魅力、サービスの魅力、それらのうちのどれか1つでも欠けてしまうと時価総額世界一の企業ではなくなるような気がする。

 iPhoneという圧倒的プロダクトの今後と、近い将来のAppleによる破壊的創造の是非について議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。同氏は、Appleの商品の価値を形作る重要な要素の1つであるハードウエアで、新たな魅力を提示しにくくしている構造を指摘している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) パートナー
三ツ谷 翔太(みつや しょうた) 世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。
【質問1】現在のような順当なハードウエアの進化を繰り返すことで、スマートフォンでのiPhoneの強いポジションを今後も維持できると思いますか?
【回答】「製品を意図的に陳腐化」していく勝ちパターンはもはや限界
【質問2】今後、Appleが新たなサービスビジネスを創出していくうえで、ハードウエアの革新的な進化は必要だと思いますか?
【回答】ハードウエア進化の追求は必ずしも新たな体験価値に直結しない
【質問3】Appleが今後も成長していくため、iPhoneという現状の強力なプロダクトに取って代わるような破壊的創造が必要だと思いますか?
【回答】新たな勝ちパターンの確立か、iPhoneに固執しないイノベーションか