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 ルネサス エレクトロニクスは、車載マイコンで圧倒的な強みを持つと言われる。ただし、自動運転用のチップのような話題性の高い分野で強いわけではない。エンジンやステアリング、ブレーキなど“走る” “曲がる” “止まる”といったクルマの基本機能の部分を制御するところで強みを発揮している。

 自動運転用の半導体チップは、米NVIDIAや米Intelなどが激しい競争を繰り広げている。一方のルネサスが得意とする分野も競争が激しくなってきている。オランダのNXP SemiconductorsやドイツのInfineon Technologiesなどが競争力を高めている。NXPはコネクテッドカーの分野で強みを発揮し、Infineonは電気自動車向けのインバーターやコンバーターで、独自の強みを持っている。クルマの根幹部分の仕組みも変化していくことが確実で、ルネサスの現在の強みは決して盤石とはいえない。

 ルネサスによる米IDTの買収は効果的な買収なのか議論している今回のテクノ大喜利、2番目の回答者は慶應義塾大学の田口眞男氏である。同氏は、両者が保有する製品や技術の品ぞろえを丁寧に検証し、シナジー効果が期待できそうなところ、効果的なビジネスを構築できそうなところを探した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
田口 眞男(たぐち まさお)
慶應義塾大学 先端科学技術研究センター 研究員
田口 眞男(たぐち まさお)  1976年に富士通研究所に入社とともに半導体デバイスの研究に従事。1988年から富士通で先端DRAMの開発・設計に従事。メモリーセル、高速入出力回路や電源回路などアナログ系の回路を手掛ける。2003年、富士通・AMDによる合弁会社FASL LLCのChief Scientistとなり米国開発チームを率いてReRAM(抵抗変化型メモリー)技術の開発に従事。2007年からSpansion Japan代表取締役社長、2009年には会社更生のため経営者管財人を拝受。エルピーダメモリ技術顧問を経て2011年10月より慶應義塾大学特任教授、2017年4月より同大学の先端科学技術研究センター研究員。技術開発とコンサルティングを請け負うMTElectroResearchを主宰。
【質問1】今回の買収によって、ルネサスは、データセンターや通信インフラの成長に付随する市場で強いビジネスを展開できると思いますか?
【回答】悪い方向ではないが強いビジネスをイメージするには不足
【質問2】今回の買収によって、現在のルネサスの主力事業である車載用マイコン事業は強化されると思いますか?
【回答】思わない
【質問3】7330億円という買収額は、予想される効果を鑑みて、妥当な額だと思いますか?
【回答】高い印象がある。特に海外マネージメントに多くの失敗例あり心配だが、賭けに出るしかない