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 半導体チップの製造受託企業(ファウンドリー)大手の米グロバ―ルファウンドリーズ(GLOBALFOUNDRIESが、最先端技術である7nm FinFETプロセスの開発を無期限停止すると発表した。開発を継続して、設備投資しても、投資回収に見合った需要がないというのがその理由である。同社は7nmより微細なプロセスの開発も行わない。これによって、最先端技術でのチップ量産に意欲を見せるのは、台湾TSMC、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)、米インテル(Intel)の3社となった。

 ただし、SamsungとIntelは、ファウンドリー事業は行っているものの本業ではない。このため、多くのファブレスメーカーにとって最先端の半導体プロセスを利用した製造委託は、TSMCしか選択肢がなくなった。微細加工技術の伸びしろを増やすEUV露光が実用化に向かい、半導体チップのさらなる進化に道が開いた状況でのファウンドリー大手の撤退は、衝撃的な出来事である。

 現在、TSMCは、さまざまなファブレス半導体メーカーのチップを生産している。AIや自動運転で時代の寵児(ちょうじ)となった米エヌビディア(NVIDIA)のGPUを始め、米アップル(Apple)や中国・華為技術(ファーウェイ、Huawei)などがスマートフォンに搭載している独自チップ、さらには米クアルコム(Qualcomm)や台湾・聯発科技(メディアテック、MediaTek)などのチップセット、そして米ザイリンクス(Xilinx)のFPGAもTSMC製だ。2018年7月には、米グーグル(Google)のAIチップ「TPU」の次世代版の生産も受注した。まさに、世界を動かす企業の武器となる半導体チップの生産を一手に引き受けている状態である。

 あらゆる産業の未来の命運をTSMC1社に委ねるこの現状は、巨大なリスクと言える。今回のテクノ大喜利では、最先端チップの製造を託せるファウンドリーがTSMC1社になったことの波及効果について議論した。各回答者に投げ掛けた質問は、以下の3つである。

【質問1】先端プロセスでチップを生産できるファウンドリーがTSMC1社になったことで、AIや自動運転など応用市場にはどのような影響が及ぶと思われますか?
【質問2】先端ファウンドリービジネスがほぼ独占状態になったことで、TSMCは、投資戦略変更やビジネスモデルの変更など、これまでとは異なる施策を採ると思われますか?
【質問3】 GLOBALFOUNDRIESも精査した上での最先端プロセスからの撤退だと思います。TSMCの先端プロセスのファウンドリービジネスは、今後も継続できると思われますか?

 3つの質問に対するそれぞれの識者による回答要旨は、以下の表の通りだ。

表1 テクノ大喜利「AIも自動運転もスマホも、未来はTSMC頼り?」回答まとめ
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表1 テクノ大喜利「AIも自動運転もスマホも、未来はTSMC頼り?」回答まとめ