全盛期の米Intel(インテル)の強さは、PC向けマイクロプロセッサーで業界標準を握ることだけではなかった。半導体製造技術の進化を常に先導する、圧倒的プロセス開発力もあった。前者がコンピューター業界のバリューチェーンに多大な影響力を及ぼす原因であったのに対し、後者は半導体業界のサプライチェーンの方向性を決定づけるほどの影響力を持っていた。同社が新しい露光技術やプロセス技術の開発、ウエハー大口径化の検討などを進める際、競合もサプライヤーも半導体業界内のあらゆる企業が、同社の顔色と一挙手一投足に注目していた。
PC向けマイクロプロセッサーの強みは、少し目減りしたとは言え、今だ健在である。しかし、プロセス開発力での強みに関しては、もはや半導体業界全体を引きずり回すほどの先導力はない。言うまでもなく、「Mooreの法則」の原動力は半導体微細加工技術の進歩である。この序文の筆者は、2015年にインテルがFPGA大手の米Altera(アルテラ)を買収した時、アルテラのFPGAの競争力は格段に強化されるのではとみていた。インテルの先端プロセスが優先投入され、より高性能なチップがより早く市場投入されると考えたからだ。しかし、現在のところ、見立ては外れているように感じる。まさか、あのインテルのプロセス開発が、ファウンドリーのプロセス開発に後れを取ることになるとは……。
インテルが特別な半導体メーカーであり続けるための方策を議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏である。同氏は、インテルにとって、半導体プロセスの開発での優位性を維持することがいかに重要であるかを論じている。そして、そこで優位性が見られなくなった同社の未来を悲観している。
服部コンサルティング インターナショナル 代表
