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 2016年、ソフトバンクグループは、CPUコアベンダーである英アーム・ホールディングス(ARM Holdings)の株式を総額約240億ポンド(約3.3兆円)で取得し、100%子会社とした。狙いは、これから成長するAI(人工知能)/IoT(Internet of Things)関連市場でのビジネスを直接的、または間接的に有利に進めることにあった。直接的には組み込みシステム向けCPUコアとして広く普及するArmのロイヤルティー収入が、間接的には世界中のAI/IoT関連開発の動きを俯瞰(ふかん)できる情報が、アームを通じて入ってくるからだ。

 ところが、現在、利用が広がりつつあるオープンソースの命令セット・アーキテクチャー(Instruction Set Architecture:ISA)「RISC-V」は、こうした目論見(もくろみ)を外させる可能性がある。

 時代の要請に応える技術としてRISC-Vがブレイクする条件や効果的な活用先について議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏である。同氏は、RISC-VのAI/IoT関連市場での応用適性を論じ、Armや「x86」など既存市場で存在感が大きなISAとの勢力争いの行方を見通すうえでの視点を提示している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
服部 毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部 毅(はっとり たけし) 大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学 留学、同 集積回路研究所客員研究員なども経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・終身名誉会員。マイナビニュースや日経xTECHなどに、グローバルな見地から半導体・ハイテク産業動向を随時執筆中。近著に「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP社)」「表面・界面技術ハンドブック(NTS社)」「半導体・MEMSのための超臨界流体」(コロナ社)がある(共に共著)。
【質問1】RISC-Vの普及の起爆剤となる出来事またはキラーアプリケーションは何だと思われますか?
【回答】①米中貿易戦争激化でファーウェイ(Huawei)はじめ中国勢がx86やArmなどの欧米製標準CPUやIPを使えなくなる危険性、②中国における設計力ある多数のファブレス・ベンチャー企業の興隆
【質問2】RISC-Vの活用によってイノベーションが生まれると思われる業種、業界はどこだと思われますか?
【回答】 AI/IoT端末、さらには5G、自動運転
【質問3】RISC-Vの活用を早期に積極化すべき日本企業は、具体的にどこだと思われますか?
【回答】「べき論」で語るような話ではなく、最もメリットがあるISAを使えばよい