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 半導体チップの高性能化の手段として、微細加工技術の進化を頼りにすることができない時代が目前に迫っている。他社よりも高性能な半導体チップによって、自社製機器や提供するサービスを差異化したい機器メーカーやIT企業を中心に、独自半導体チップを開発する機運が高まっている。こうした企業が注目しているのが、CPUコアのレベルから差異化できて、しかもロイヤルティーフリーの「RISC-V」である。

 米ウエスタンデジタル(Western Digital)は、自社製HDDやSSDのコントローラーをすべてRISC-Vベースにすることを明言。独自プロセッサー「SweRV Core」の機能向上や利用環境の整備を着実に進めている。半導体メーカーも、RISC-Vの活用に積極的だ。米エヌビディア(NVIDIA)は、GPUのプロトタイプ「RC18」で、多数のGPUコアを制御するコントローラーとして「Rocket」と呼ぶRISC-Vベースのプロセッサーを搭載している。また、米クアルコム(Qualcomm)の投資部門は、RISC-VベースのコアIPベンダー米サイファイブ(SiFive)に出資。RISC-Vの活用を見据えた検討を進めているようだ。

 時代の要請に応える技術としてRISC-Vがブレークする条件や効果的な活用先について議論している今回のテクノ大喜利。4番目の回答者は、日本アイ・ビー・エム 東京基礎研究所の宗藤誠治氏である。現在、RISC-Vを使ったIoT(Internet of Things)向けの低消費電力無線システムの実用化に取り組んでいる同氏は、コアユーザーの視点から見たRISV-Vの魅力を語った。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
宗藤 誠治(むねとう せいじ)
日本アイ・ビー・エム 東京基礎研究所
宗藤 誠治(むねとう せいじ) 1992年東北大学大学院工学研究科電子工学専攻修士課程修了、同年日本アイ・ビー・エム入社. 以後, 東京基礎研究所においてセキュリティー・ハードウエアなどの各種半導体、計算機システムの研究開発に従事。現在はRISC-Vを使ったIoT向けの低消費電力無線システムの実用化に取り組む。情報学博士
【質問1】RISC-Vの普及の起爆剤となる出来事またはキラーアプリケーションは何だと思われますか?
【回答】2017年12月の第7回RISC-V WorkshopでウエスタンデジタルがRISC-Vの商用利用をコミットしたことは潮目の1つ
【質問2】RISC-Vの活用によってイノベーションが生まれると思われる業種、業界はどこだと思われますか?
【回答】計算機を利用するすべての業種、業界、アプリケーションが該当する
【質問3】RISC-Vの活用を早期に積極化すべき日本企業は、具体的にどこだと思われますか?
【回答】製品にプロセッサーを使っている企業はすべて該当するのでは