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 たった3社が寡占化しているDRAMビジネスは、無風状態の終わりを予感させる興味深い局面になってきた。

 世界のDRAMメーカー3強のうち、不動のトップである韓国サムスン電子(Samsung Electronics)と2位である韓国SKハイニックス(SK Hynix)は、世界的な供給過多の状況を鑑みて、増産計画を凍結、減産しているという。一方、シェア3位の米マイクロンテクノロジー(Micron Technology)は、1兆3000億円を投じて、台湾 台中市に最先端のDRAM工場を建設する計画を進めているようだ。同社は、2019年6月に広島の最先端DRAMファブの開所式を行ったばかりだ。

 一方、2018年に福建省晋華集成電路(JHICC)が米国から事実上の禁輸措置を受けて以来、DRAM事業の立ち上げがとん挫していた中国企業が息を吹き返してきた。中国の紫光集団は、重慶市とDRAM研究開発センターおよび量産工場を設立する協約を締結。2019年末に工場建設に着工し、2021年に竣工するという。

 今回のテクノ大喜利では、長年、無風地帯だったDRAMの勢力図が変わる可能性とその波及効果を、マイクロンと中国企業の動きを軸に議論した。最初の回答者は、服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏である。同氏は、いよいよDRAM市場の侵食に向けて進軍し始めた中国メーカーの行方を測るうえでの論点を整理した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
服部 毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部 毅(はっとり たけし) 大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学 留学、同 集積回路研究所客員研究員なども経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・終身名誉会員。マイナビニュースや日経xTECHなどに、グローバルな見地から半導体・ハイテク産業動向を随時執筆中。近著に「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP社)」「表面・界面技術ハンドブック(NTS社)」「半導体・MEMSのための超臨界流体」(コロナ社)がある(共に共著)。
【質問1】無風状態だったDRAMの勢力図が変化すると、半導体業界の他分野や電子業界にどのような波及効果があると思われますか?
【回答】中国勢による需給バランス無視の半導体安値攻勢、中国製高性能・低価格・最終製品の普及。韓国勢は当面DRAMの「超格差戦略」で応戦しつつ、非メモリービジネスを強化
【質問2】積極投資するマイクロンは、上位のサムスン電子とSKハイニックスを覆すことができると思われますか?
【回答】思わない
【質問3】中国企業によるDRAMビジネスの立ち上げは、成功すると思われますか?
【回答】紆余(うよ)曲折はあるものの長期的には成功する