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ブロックチェーンによる革新が組み込みシステムへと拡大

 次に、システムを高度化させるための要素技術の応用や開発での注目点についてまとめてみたい。

 プロセッサーや組み込みシステム関連技術などを追い続けているETラボの横田英史氏は、2020年の見所として非金融分野でのブロックチェーンの胎動を挙げた。同氏は、「とりわけIoT領域におけるブロックチェーンの活用が2020年には静かだが確実に動き出すと見ている。ブロックチェーンには、スケールしない、処理速度に制約がある、運用の検討が不十分、プライバシー保護など多くの課題が残されている。しかし、それにも増して技術者を引きつけて止まない新規性と、企業家や投資家にとってのビジネスの魅力がある。インターネットと同様にヒト・カネ・モノが投じられれば、技術的な課題はいずれ解消される」としている。組み込みシステムにブロックチェーンが応用され、あらゆるモノでスマートコントラクト(自律的な契約)ができるようになると、そのインパクトは計り知れない。

出典:Buffaloboy / Adobe Stock
出典:Buffaloboy / Adobe Stock

 慶應義塾大学の田口眞男氏は、説明可能な人工知能(AI)技術を、2020年に進展を期待したい開発テーマとして挙げた。「AI関連ビジネスが、人の命や財産に関わる応用に適用されるようになってきている。判断結果の根拠を示せないブラックボックス問題など、現在のAIが持つ問題点が次々と顕在化してくることだろう。2020年は、AIとペアになるスマートな安全装置についても開発を進めてほしい」としている。実際、実用化段階を直前に控え、自動運転車の開発では、異質なAIを複数搭載することによる冗長化や機能安全の作り込みといった話題を聞くことが多くなっている。この技術テーマには伸びしろがまだまだありそうだ。

 FPGAを利用したエッジ・サーバーなど、既存の情報システムの構造の枠に捕われない斬新な技術提案で多くの実績を持つフィックスターズの塩田靖彦氏は、量子コンピューターの応用拡大に注目している。「2018年までの量子コンピューターは、社会課題に対する価値を提案するところまで性能が及んでいなかった。だが2019年には、技術的成熟度が進み、実用化を目指した実証実験が可能な量子コンピューターが出てきた。2020年は、これらを用いて、社会課題を解決するさまざまな実証実験が行われるようになると予想している」とみている。