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共創とクラウドによるイノベーション創出の活発化

 回答者からは、情報システムや電子機器、自動車などの開発をリードする大企業での技術開発の枠組みの変化を、2020年の注目点として挙げる意見も多く出てきた。

 塩田氏は、「Society 5.0に関連して、さまざまな社会問題に取り組む開発プロジェクトが進められている。こうした取り組みを進める際には、大企業であっても、異業種の企業、斬新なアイデアを持つ企業との協力関係が不可欠になる。このため、大企業とベンチャー企業の間での協業が増えている」と指摘している。この傾向は2020年にはさらに高まる可能性がある。

 三ツ谷氏は、同様の文脈の中で、大学との協業の動きに注目している。「2020年は東京大学の動きに注目したい。ソフトバンクやメルカリといった『Company of the Year 2020』の候補にもなりそうな企業が、相次いで同大学との連携を強めている。台湾TSMCなどのグローバル企業とも包括連携した。ますます加速するイノベーションの時代において、異分野技術との融合や社会応用との結節など、大学の役割はますます広がっていく」としている。

出典:makuake
出典:makuake

 技術経営の研究者である立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏は、「クラウドファウンディングなど、ネット上のコミュニケーション・プラットフォームを通じて、一個人が大きな技術開発プロジェクトに関与できるようになった。2020年は、こうした動きがさらに活発化すると期待している」とした。同氏は、こうした一個人が大きなイノベーション創出の活動に関与していく開発形態を「クラウドイノベーション」と呼んでいる。つい最近まで素人だったユーチューバーが、百万人規模の人々に影響を与える存在になれる時代になった。ものづくりの分野では、起業に際して莫大な資金が必要とされるようになって久しい。クラウドイノベーションが活発化すれば、ものづくりの起業家の苦難を拭い去ることができるかもしれない。

*3 根日屋英之氏の回答は「2020年は5Gキックオフの年、本格的活用が始まる年ではない」を参照。