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 第5世代移動通信システム(5G)の本格的な商用サービスが、いよいよ始まる。そして、私たちの生活や社会活動に、大きなインパクトをもたらす応用が数多く生まれるものと期待されている。その一方で、早くも次世代の6Gの開発に関する話題が聞かれるようになった。2030年代の実現を目指し、世界中の企業や研究機関で技術開発プロジェクトが動き始めている。

 現時点では、世界のコンセンサスが得られている6Gの仕様が定まっているわけではない。ただし、5G比で、伝送速度、遅延、最大接続数を1ケタ高めることを狙うという大まかな開発目標があるようだ。

 今回のテクノ大喜利では、明確な開発指針のコンセンサスがない今だからこそ、6Gへの期待と応用について、緩くワイガヤ的に議論した。最初の回答者は、立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏である。同氏は、国家競争力の根幹になってきた移動体通信技術の開発での、日本企業の取り組みの強化・加速への期待を論じている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ)
⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ) 神⼾⼤学⼤学院卒業後、シャープに⼊社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間、3年間、⽶国のシャープアメリカ研究所など⽶国勤務。2004年から⽴命館アジア太平洋⼤学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10⽉から2010年3⽉まで、⽶国スタンフォード⼤学客員教授。2015年7⽉から2018年6⽉まで、⽇本MOT学会企画委員⻑。2017年から⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授・客員教授。京都在住。
【質問1】6Gでは、現状の4Gや、これから実用化する5Gで抱えている、どのような課題の解決に挑むべきと思われますか?
【回答】米中覇権争いの原因となった5Gを巡る安全保障が最大の課題。他にCO排出の環境問題、高齢化問題の解決に挑むべきだ
【質問2】6Gは、どのような機器やシステムの進歩を後押しする技術であって欲しいと思われますか?
【回答】情報処理のコアとなる「半導体素子」、情報をリアルに表示する「ディスプレー」、「遠隔支援システム」の進歩を、6Gは後押しして欲しい
【質問3】6Gを応用した未来の移動通信システムには、どのような機能・性能の実現を期待しますか?
【回答】安全保障上のリスクを回避できる「ハイセキュリティー」、CO排出を抑えた「超低消費電力」、遠隔支援の精度を上げる「超低遅延・超高精細」の実現を期待