全3388文字
PR

非Si系の使い手には明るい未来がある

 利用技術の面でも、整備すべきエコシステムがたっぷり残っている。パワーデバイスの利用技術開発に取り組んでいるMTElectroResearchで、慶應義塾大学の田口眞男氏は、「腕利きのユーザー以外でも、非Si系パワーデバイスを活用できるようにする技術支援体制が必要になると思う。多くのユーザーが非Siの潜在能力を生かせる状態にならないと、結果としてコストが下がらず普及しない。また、システム全体を俯瞰(ふかん)して、非Si系パワーデバイスの的確な使いどころを見つけ出すことができるエンジニアの育成も必要だ」とした。

 段違いの高性能を実現するとがった技術は、F1マシンのように、荒削りで使いにくい。GaNデバイスを利用した小型ACアダプターを他社に先駆けて市場投入した米フィンシックス(FINsix)のセールストークには、次のような一文が書かれている。「MIT(マサチューセッツ工科大学)発の高速スイッチング技術により、市場に出ている従来のACアダプターと比較し、4分の1の小ささ・軽さを実現・・・・・・」。MITがACアダプターを開発するという意外性のある世界が、非Si系パワーデバイス周辺には広がっている。

 近年、ドイツのインフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies)やロームは、SiCパワーデバイスの駆動を前提としたドライバーICなど、周辺チップの充実に注力するようになった。また、パワーデバイスを周辺ICと共に集積化し、回路構成を最適化したモジュールを開発するようにもなってきている。こうした取り組みが進むことで、利用者は徐々に広がっていくことだろう。