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 新型コロナウイルス(COVID-19)が、世界中の人々の生活や経済活動、社会の営みを大混乱に陥れている。「世界の工場」であり、世界有数の大市場である中国、それも春節を前後した時期を直撃する最悪の出だしで始まった今回の感染症災害は、当初は対岸の火事と傍観していた欧米にまで広がり、世界経済に与えるインパクトは計り知れない状態になった。

 その影響が電子産業にも及ぶことは確実だ。既に、中国国内の工場が操業停止したことによる直接的影響も顕在化してきている。電子機器の生産のサプライチェーンに組み込まれている中国企業は多様であり、たとえ自社では生産活動に支障がなくても、機器を構成する部品の一部が供給されずに需要が停滞する可能性も心配されている。

 新型コロナウイルスの影響拡大は、現在進行中である。まだまだ、最終的な影響を論じる段階ではないかもしれない。しかし、どのような部分に、いかなる影響が及ぶ可能性があるのか洗い出しておくことは、適切な身構えを考えるうえで大切だと思われる。今回のテクノ大喜利では、回答者の方々の視座から見える、新型コロナウイルスの気になる影響の切り口を指摘していただいた。最初の回答者は、立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏である。同氏は、今回の出来事で停止した中国工場を早期に操業再開させた行田電線の取り組みを独自に情報収集して、中国に進出している企業が採るべき対応策を考察した。

(記事構成は、伊藤 元昭=エンライト
中田 行彦(なかた ゆきひこ)
立命館アジア太平洋大学 名誉教授
中田 行彦(なかた ゆきひこ) 神戸大学大学院卒業後、シャープに入社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間、3年間、米国のシャープアメリカ研究所など米国勤務。2004年から立命館アジア太平洋大学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10月から2010年3月まで、米国スタンフォード大学客員教授。2015年7月から2018年6月まで、日本MOT学会企画委員長。2017年から立命館アジア太平洋大学 名誉教授・客員教授。京都在住。
【質問1】中国の電子産業に及ぼす影響に関して、特に気になる点をお聞かせください。
【回答】企業では鴻海やアップル、産業では液晶と中国への依存度が高い分野ほど影響大。この結果、中国からアジアへ供給網の再編が起こる
【質問2】日本の電子産業に及ぼす影響に関して、特に気になる点をお聞かせください。
【回答】日本の中国進出企業は、迅速な危機対応が必要である
【質問3】長期的視野から見た際の、世界の電子産業に及ぶ影響があればお聞かせください。
【回答】長期的には、世界の供給網の再編が進む。中国依存度を下げながら、アジアへの供給網の展開と「共創」に期待