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【質問1】中国の電子産業に及ぼす影響に関して、特に気になる点をお聞かせください。
【回答】産業全体の一時的な停滞から復興に向け動きだし、新たなビジネスも生まれつつある

 筆者は、主に中国内での情報やメディアのリポートなどをウオッチしている。2020年2月時点では、中国全体で新型コロナウイルスへの対応で右往左往していたが、電子産業では、自動化が進んでいる半導体やディスプレーの前工程は稼働率の低下はあるものの生産停止などの大きな影響は無かった。必要な部材は春節を見込んで備蓄しており、また戦略的な部材は物流面でも優先されている。ファブレスのデザインハウスも影響は少ない。LEDも湖北地域には工場が少ないことと2019年の供給過剰で在庫もあり、短期的な影響は少ない。

 一方で影響が大きい分野は、人手を必要とする後工程であり、ディスプレー・モジュールやスマホ、ノートブック、テレビなどの組み立てである。また、中国が生産の主力となっている太陽電池パネルや、武漢地域に生産が集中している光ファイバーなどに大きな影響が出ている。ただし、半導体やゲーム機などは、第1四半期はもともと閑散期であり、第2四半期以降に生産が本格的に再開すれば大きな影響は無いという見方もある。このあたりの影響度に関する具体的な数値は、既に日本のアナリストやメディアからも詳細にリポートされている。

 人が集まる会議は現在も禁止されているが、ネット上で業界の上流から下流の関係企業が集まり、現状報告と対応策などをディスカッションするネット会議が定期的に開催され一般公開もされている。この内容を聞いていると、生産へのインパクトを共有すると同時に、3月に入ってからは回復に向けた取り組みも進み始め、前向きな発言も聞こえるようになった。

 例えば、ディスプレーの新技術として注目されているマイクロLEDやミニLEDに関して、研究開発は新型コロナウイルスの大きな影響を受けておらず、中国の多くのLEDメーカーが実用化に向けた開発を加速させようとしている。さらには、室内の管制用スクリーンなどで既に市場に出回っている大画面のSmall pitch LEDは、刻々と変わるさまざまなデータを遠隔地同士で共有していくという用途に適しており、今回の新型コロナウイルスの「特需」を受けて市場が拡大しているようである。同様に、今回の出来事を機にネット情報を活用した新たなビジネスもいろいろと生まれつつある。具体的な事例は後述する。