全4699文字
PR
【質問2】日本の電子産業に及ぼす影響に関して、特に気になる点をお聞かせください。
【回答】直近のビジネスへの影響が大きく、その回復に目が行っているが、長期的な事業戦略の見直しの機会とすべきだ

 電子産業では多くの日系企業が中国企業を顧客としてビジネスを行っている。日々の電子製品の生産には欠かせない部品材料の供給、生産ライン維持のためのメンテナンス、さらには今後の生産ライン増設や新技術導入のための設備納入など、日本企業が果たしている役割は大きい。今回の新型コロナウイルスの影響で、中国の電子産業が影響を受ければ、そのままの割合で日本の企業が影響を受けることになる。

 日本企業は、部品材料や装置などモノの移動だけではなく、それをサポートする駐在員や出張者の派遣を2月中は自粛していた。3月初めからは中国側が新型コロナウイルスの逆感染を防止するため規制を始めたことで、人の動きは少なくとも4月頃までは大きな制限を受けるだろう。中国の産業界をけん引する中国光学光電子行業協会液晶分会常務副秘書長の胡春明氏の話では、産業のサプライチェーン維持に重要な役割を持つ日本からの物流の制限や人のサポートが滞ることが懸念されているという。

 世界的なレベルでの回復には早くても3、4カ月かかるとの見込みも最近出始めているが、日本企業の足元の視点では、まずはモノと人の滞留で落ち込む状況をいかに早く回復させるかが直近の課題になる。直近の生産に対するインパクト、供給不足による価格高騰と市場の減速による価格下落が交錯する状況や、今後の新規投資への影響などさまざまな懸念事項がある。

 しかし、一方で中長期的な視点で捉えることも必要であろう。今回の影響でサプライチェーンが変化していくことも十分に予想される。また、当面の生産の落ち込む中で、大きな影響が出ていない研究開発に力を入れて将来に備えることも必要になろう。最近の中国企業からの発言を聞いていると、実際にそのようなトーンで前向きに捉える経営者もいる。