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【質問3】長期的視野から見た際の、世界の電子産業に及ぶ影響があればお聞かせください。
【回答】会議や展示会イベントなどの延期が中長期的な産業発展の停滞を招く一方で、全く新しい情報ネットワークの形成が加速していく

 電子産業に関わる人々が一堂に集う大きな会議や展示会が、これまでは中国各地で毎月のように開催されていた。そこには中国国内だけではなく海外からも多くの関係者が参加し、情報の共有やビジネスネットワークの構築が行われている。ところが、新型コロナウイルスの問題が顕著になった2月以降、深圳のLEDやサイネージ関連の展示会、上海のSEMICONとディスプレーの展示会、さらには4月に予定されている北京モーターショーなどが次々と延期された。この動きは、海外のMWC Barcelonaといった主要な展示会にまで飛び火しており、情報の停滞は避けられない。

 このような会議や展示会の中止は、足元のビジネスにすぐに影響が出るものではない。しかし、この場での情報が業界企業の中長期的な戦略の指標になり、直接出会って構築されるネットワークが将来のビジネス展開につながっていく。このため、その影響はボディーブローのように産業の成長に効いてくる。その影響は、中国だけではなく、中国と取り引きする世界の電子産業界全体に及ぶことだろう。

 一方で、今回の新型コロナウイルスの影響を受けて、新たな情報ネットワークを構築しようという動きも出始めている。例えば、業界企業を横断する「オンライン会議」が既に行われており、業界全体での迅速な情報共有の役割を果たしている。さらには「オンライン展示会」なるアイデアも出始めている。

 また、生活面でも適応が始まっている。既に「ネットショッピング」が中国では広く普及し日本でも広まっているが、今回の新型コロナウイルスの影響で「全員引きこもり」状態になり、「生鮮食品のオンライン注文・配達」「オンライン医療」などがどんどん発達している。加えて、「在宅勤務」や「在宅授業」を支援するさまざまなアプリも出始めている。営業できなくなったレストラン店の従業員を宅配食品の製造企業に大量に異動させるような「従業員シェアリング」などもあり、多様なスマホアプリやキャッシュレスが既に行き渡っている中国で、情報ネットワークを活用した新しいサービスが生まれてきている。このようなネットワーク社会が、今回の新型コロナウイルスの問題を機に、ますます発達し根付いていく可能性が十分にある。