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【回答者後記】人やモノの動きは停滞、ネット上の動きは加速

 筆者は、2019年暮れまでは月に1、2度の割合で中国に行き、各地で開催されている会議、展示会および企業の方々との交流を通して情報収集や日系企業のビジネスサポートを行ってきた。しかし、2020年は、新型コロナウイルスの影響をにらみながら、現地スタッフの協力を得て日本から現地の動向を注視している。2020年前半はこの状況が続くと予想しており、仕事のやり方も、これまでのような直接対話型からネット活用型に変えつつある。元々中国のネット社会は日本よりも進んでいたが、今回の出来事をキッカケにしてさらに加速する気配を感じている。特に、感染を必死に押さえ込もうとしていた2月の状況から、復興を意識し出した3月に入ってネット情報のフェーズも変わってきている。

 一方、モノと人が行き来する現実の世界では、新型コロナウイルスの世界的な広がりを受けて、各国が相互に人の行き来を制限する方向に動いている。このため、最近の世界的な流れである「自国主義」が加速し、最終的には電子産業を支えている世界規模でのサプライチェーンが内向き化していくのではないかと懸念する。

 人とモノの流れが滞る一方で、ネット上の情報はどんどん膨らんでいく。ネット上はバーチャルな世界であり、そこでの情報は虚実入り乱れる危うさはあるものの、実際にはその情報に頼らざるを得ない状況になりつつある。

 コンプライアンスを重視する日本企業では企業間の情報セキュリティーは厳しく管理され、情報も制限されている。しかし、元々人の動きや横のコミュニケーションに寛容な中国では、さまざまな手段を活用して情報を入手しており、その重要な手段であるネット活用の方法も多様化している。今回の新型コロナウイルスの影響でその動きは加速し、いずれは日本をはじめとした海外にもその影響が及んでくるであろう。

 その身近な例として、3月に入り市民の健康状態を証明する「ヘルスQRコード」の仕組みが短期間で構築され各地で導入され始めた。スマホに登録したQRコードで市民の人的流動性を円滑にコントロールする目的もあり、大都市上海でも3月8日から運用が始まった。外国人といえどもこれを持たなければ生活していけない状況になりつつある。中国以外の国々では、3月に入ってから新型コロナウイルスが広まり始めており、その抑え込みで躍起になっているが、最初の発生国とはいえ既に抑え込みのフェーズから次の復興のフェーズに入ってきた中国では、新たな仕組みが次々と生み出されている。