全5301文字

 究極のバッテリーとして、実用化が待たれていた全固体電池が、2020年、いよいよ実用化に向かいそうだ。全固体電池の応用として、一般によく知られるのは、電気自動車のバッテリーである。ただし、大出力・大容量が前提となるこちらの用途での実用化はまだ先。2020年に登場する全固体電池は、IoT機器やウエアラブル機器向けになりそうだ。TDK、村田製作所、FDKが試作品を披露し、にわかに応用拡大の機運が高まってきた。

 リチウムイオン2次電池の実用化なくして、ノートパソコンやスマートフォンの実用化はなかったことだろう。しかし、その後のバッテリー技術は、徐々に性能向上は進んでいるものの、技術革新と呼べるような飛躍的進化は起きなかった。このことが、携帯機器の進化を妨げている面があった。久々のバッテリーでの技術革新である全固体電池が、どのような新しい機器を生み出すのか注目が集まっている。そこで今回のテクノ大喜利では、全固体電池の実用化によって、携帯機器の進化にどのようなインパクトが及ぶのか、議論した。最初の回答者は、立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏である。同氏は、過去にイノベーションをもたらした携帯機器に投入された技術を参照し、全固体電池によってもたらされるイノベーションの姿を考察した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ)
⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ) 神⼾⼤学⼤学院卒業後、シャープに⼊社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間、3年間、⽶国のシャープアメリカ研究所など⽶国勤務。2004年から⽴命館アジア太平洋⼤学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10⽉から2010年3⽉まで、⽶国スタンフォード⼤学客員教授。2015年7⽉から2018年6⽉まで、⽇本MOT学会企画委員⻑。2017年から⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授・客員教授。京都在住。
【質問1】全固体電池の活用によって、最も大きな変化を遂げると思われる携帯機器は何でしょうか?
【回答】安心・安全が要求されるウエアラブル機器と低消費電力のIoT機器用無線通信モジュール
【質問2】もしも、あなたが携帯機器の開発者ならば、全固体電池の特徴を生かして、どのような機器を開発しますか?
【回答】指輪型やイヤホン型の直接身に着けるウエアラブル機器と、全固体電池で駆動するWi-SUN規格の無線通信モジュール
【質問3】携帯機器のさらなる進化に向けて、今後の全固体電池にはどのような進化・改善を期待しますか?
【回答】今後の全固体電池には、薄型、フレキシブル対応に期待したい。また、無理難題ではあるが、さらなる高容量化にも期待したい