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 スマートシティーを住民のニーズに応えて作る1つの製品としてとらえると、自動車と共通している点が多いように思える。特に、いずれもニーズがさまざまで、しかも製品の要素技術や部品などの要素が多様で、それらが複雑に絡み合ってシステム全体が構成される点が似ている。都市の住民個々の価値観や望み、抱える問題は多種多様である。当然、国や地域ごと、さらには都市それぞれでニーズが異なることだろう。このため、スマートシティーの開発では、さまざまなニーズに対峙(たいじ)して、多彩なクルマを効率的に開発する自動車の開発手法やシステムアーキテクチャーから学ぶべき点が多々あることだろう。

 日本を代表する巨大企業の組み合わせによる異業種連携によって生み出すべき、スマートシティーの新たなビジョンとそれに関連した新ビジネスについて議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏である。同氏は、現在の日本の自動車産業は、西洋のモジュール化とは異質な「すり合わせ文化によるモジュール化戦略」に強みがあると指摘。その強みを生かしたスマートシティーのプラットフォームを構築できるかが国際競争を勝ち抜くうえでの鍵になるとしている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ)
⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ) 神⼾⼤学⼤学院卒業後、シャープに⼊社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間、3年間、⽶国のシャープアメリカ研究所など⽶国勤務。2004年から⽴命館アジア太平洋⼤学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10⽉から2010年3⽉まで、⽶国スタンフォード⼤学客員教授。2015年7⽉から2018年6⽉まで、⽇本MOT学会企画委員⻑。2017年から⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授・客員教授。京都在住。
【質問1】自動車メーカーと通信サービスプロバイダーの協業体制の下で、いかなる価値を持つスマートシティーの情報基盤を築くべきだと思われますか?
【回答】安全・便利を超えて、より高いビジョンである「自己実現」を分かりやすく支援する社会基盤を構築してほしい
【質問2】日本の巨大企業同士の組み合わせだからこそ生み出せるムーブメントは何だと思われますか?
【回答】トップ企業同士の提携が、より大きなグローバル提携と「共創」のムーブメントの引き金となる
【質問3】トヨタ自動車とNTTが創出する「スマートシティプラットフォーム」を、グローバルビジネスとして展開できる可能性があると思われますか?
【回答】このままではグローバル競争に勝てない。日本の「すり合わせ文化」による「モジュール化戦略」の展開に期待する