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 部品在庫を最小化して無駄のない生産を行う「Just in Time(JIT)」の源流は、トヨタグループの創始者である豊田佐吉氏が発明した自動織機の設計思想にまで遡ることができるのだという。自動車の生産に応用され、自動車の構造や作り方自体が変化してきた中で、JITも改良され続けてきた。そして、時代は百年に一度と呼ばれるクルマの大変革期を迎えている。当然のようにJITもリニューアルする時期を迎えているのではないか。その中で、非常事態に備えるリスク対応と競争力強化の両立を考えていく必要があるだろう。

 非常事態への対応を見据えたJITのニューノーマル(新常態)について議論している今回のテクノ大喜利。5番目の回答者は立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏である。技術経営(MOT)を専門とし、自動車メーカーなどを対象にした数多くのフィールド調査を行っている同氏は、これから市場での存在感が高まる電気自動車(EV)の生産形態など直近の自動車業界の動きを基に、リスク対応と競争力を両立するJITのあり方について考察した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ)
⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ) 神⼾⼤学⼤学院卒業後、シャープに⼊社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間、3年間、⽶国のシャープアメリカ研究所など⽶国勤務。2004年から⽴命館アジア太平洋⼤学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10⽉から2010年3⽉まで、⽶国スタンフォード⼤学客員教授。2015年7⽉から2018年6⽉まで、⽇本MOT学会企画委員⻑。2017年から⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授・客員教授。名古屋商科大学非常勤講師。京都在住。
【質問1】非常事態への対応を見据えたJITの見直し・改善を推し進める必要性を感じますか?
【回答】かつてJITは日本の競争力の源泉だった。しかしリスク対応と競争力強化の二兎(にと)を追うためJITの改善が必要
【質問2】あなたがJITを非常事態に強いものへと見直し・改善する際、どのような問題点・不備に着目した解決を目指しますか?
【回答】 IT技術とグローバル化の進展に伴い、リスク対応のために、JITのIT化の推進が必須
【質問3】JIT以外、どのような部分で非常事態を想定したニューノーマルを考える必要があると思われますか?
【回答】日本のモジュール化戦略を再考・強化し、リスク対応と共にEVを含めた競争力強化が必要