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 工場などに導入する産業IoT(Internet of Things)に向けた無線データ通信として、現状ではBluetoothやWi-Fiを利用することがほとんどではないか。ただし、データ伝送速度や遅延時間、セキュリティーなどさまざまな要因から、産業IoTで使う無線技術の進化が望まれていた。こうした要求に応える無線技術として、小容量ながら低消費電力で遠距離間の無線通信を可能にするLPWA(Low Power Wide Area)や、無線LANをより高速化したWi-Fi 6などが実用化され、利用できるようになった。そして、日本では通信事業者以外の企業・自治体が運営する自営5G「ローカル5G」も利用可能になった。

 産業IoT向け無線データ通信に利用できる無線技術は多様化した。そうした中、ローカル5Gはどのように位置付けられるのだろうか。ローカル5Gの応用・ビジネスの行方と、産業IoTの発展への寄与について議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は、省庁や企業を対象にした通信・放送セクターの経営戦略立案や事業開発に携わっている企(くわだて)のクロサカタツヤ氏である。同氏は、ローカル5Gはあくまでも効果的な産業IoTの活用を実現するための一手段であることを強調。数ある無線技術の選択肢から、目的に合った技術を的確に選定することの重要性を説いている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
クロサカ タツヤ(くろさか たつや)
企(くわだて) 代表取締役
クロサカ タツヤ(くろさか たつや) 慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修士課程修了。学生時代からネットビジネスの企画設計を手がけ、卒業後は三菱総合研究所にて情報通信事業のコンサルティング、IPv6やRFIDなど次世代技術の推進、国内外の政策調査・推進プロジェクトに従事。2008年に株式会社企(くわだて)を設立。現在は同社代表取締役として、通信・放送セクターの経営戦略立案や事業開発を中心としたコンサルティング、資本政策などのアドバイス、また官公庁プロジェクトの支援などを実施。2016年より、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授を兼務。著書『5Gでビジネスはどう変わるのか』(日経BP、2019年)。
【質問1】ローカル5Gは、産業IoTの応用や利用の拡大に大きく貢献すると思われますか?
【回答】ローカル5Gは価値ある産業IoTの実現手段の1つ、まずは導入目的の見極めが肝心
【質問2】LPWAやWi-Fi 6など、競合する無線通信技術では実現できない、ローカル5G固有の特徴が生きる応用は何だと思われますか?
【回答】端末認証とmMTC(多数同時接続)
【質問3】産業IoT向け以外の応用も念頭に置いて、ICT企業やFA企業のローカル5G関連ビジネスは、大きく育つと思われますか?
【回答】ローカル5G関連ビジネスの成長には、さらなる環境整備が必要