米中間での覇権争いが激化し、米国中心のグローバル経済から中国を引き剥がす、デカップリングの動きが活発化している。半導体やITをはじめとするハイテク分野での争いは、紛れもなく最前線にあるといえる。
これまで米中両国の間では、電子産業やIT産業を営むうえで、相互依存していたといえる。自由闊達な気風に支えられて斬新な技術とビジネスを創出できる米国、巨大な市場と人口を背景にした生産力と開発力によって最新技術を商品に変える力を持つ中国といった、ある種の役割分担の構図があったように思える。ところが、ハイテク覇権争いの激化・定常化で、電子業界やIT業界の企業は、開発・生産・応用開拓などの体制を再構築する必要性に迫られつつある。
こうした状況に際して、こと技術開発に関しては「米国が圧倒的に強いのでは。シリコンバレーのようなテクノロジーの聖地は米国にあるのだから」と考える人は多い。特に、米国以上に、日本でその傾向が高いように思える。でも、本当にそうなのだろうか。歴史をひもとけば、覇者の交代が起こる背景には、多くの場合、前覇者の過信・慢心や周囲の固定概念に基づく思い込みがある。
そこで、今回のテクノ大喜利では、米中のハイテク覇権争いでの技術開発のパワーバランスについて中立的立場から議論した。最初の回答者は、アーサー・ディ・リトル・ジャパンの三ツ谷翔太氏である。同氏は、技術開発や事業開発での米中両国のイノベーション創出力が、デカップリングによってどのように変化するのか論じている。
アーサー・ディ・リトル・ジャパン パートナー
