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 「托卵」(たくらん)という、カッコウなど一部の鳥類の巧妙な生存戦術をご存じだろうか。他の種類の鳥の巣にこっそりと卵を産み、宿主の卵よりも先にふ化した侵入者の雛(ひな)が、他の卵を全て巣の外に捨ててしまう。しかし、宿主の親鳥はそれに気づかず、せっせと侵入者の雛を育てるというものだ。気づいていないとはいえ、宿主としてはたまったものではない状況だ。

 自然界で見られる托卵の話はここまでなのだが、仮に宿主の鳥が生き残っていくために、育った侵入者を利用するように進化したらどうだろうか。宿主が侵入者をいち早く発見して追い出すことが正解なのか。現在のハイテク業界での米国と中国の関係は、まさにそのような状況にあるように見える。

 米中のハイテク覇権争いでの技術開発のパワーバランスについて中立的立場から議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏である。同氏は、米国が誇るシリコンバレーは、中国のハイテク人材を育成し、その力に依存して繁栄を維持している面があることを紹介。単純なデカップリングを進めることの難しさを指摘している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
服部 毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部 毅(はっとり たけし) 大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学 留学、同 集積回路研究所客員研究員なども経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・終身名誉会員。マイナビニュースや日経クロステックなどに、グローバルな見地から半導体・ハイテク産業動向を随時執筆中。近著に「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP)」「表面・界面技術ハンドブック(NTS社)」「半導体・MEMSのための超臨界流体」(コロナ社)がある(共に共著)。
【質問1】ハイテク関連の技術開発において、中国が米国に勝る点はどこでしょうか?
【回答】国策による集中的投資と強制を伴う実行力。優秀な中国人ハイテク人材の圧倒的数。国内の巨大消費市場の存在。えげつないほど徹底した知財情報収集力
【質問2】ハイテク関連の技術開発において、米国が中国に勝る点はどこでしょうか?
【回答】“アメリカンドリーム”を夢見て世界中から集まる優秀な人材による研究開発の推進。世界一潤沢な官民の科学技術研究費や投資資金。自由闊達な気風に支えられた独創力の重視と起業家精神を尊ぶ風土
【質問3】米中のハイテク分野でのデカップリングによって、日本のハイテク関連産業にはいかなる影響が及ぶと思われますか?
【回答】中国を取るか、米国を取るかの踏み絵の強要で板挟み