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 米中ハイテク覇権争いに接する日本企業の立場は、極めてデリケートである。もちろん、人権侵害や領土的野心をむき出しにする国とまともに付き合うことはできない。しかし、あえてそれを抜きにして経済的な損得勘定だけで考えれば、争いが起きること自体が不利益。両国に仲良くしてもらうに越したことはないというのが正直なところではないか。多くの日本企業にとって、中国とのビジネス上の関わりと米国との関わりそれぞれに、固有の役割があるからだ。もっとも、近年のグローバル化の潮流に乗って、他国企業との依存関係を複雑にしすぎた点に、日本企業の脆弱性があるのかもしれないが・・・。

 米中のハイテク覇権争いでの技術開発のパワーバランスについて中立的立場から議論している今回のテクノ大喜利。4番目の回答者は、立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏である。同氏は、現在の多くのハイテク分野の日本企業が前提としている、中国と米国それぞれの役割や強みを明確化し、ハイテク覇権争いの中で生きていくための日本のかじ取り指針を考察している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ)
⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ) 神⼾⼤学⼤学院卒業後、シャープに⼊社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間、3年間、⽶国のシャープアメリカ研究所など⽶国勤務。2004年から⽴命館アジア太平洋⼤学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10⽉から2010年3⽉まで、⽶国スタンフォード⼤学客員教授。2015年7⽉から2018年6⽉まで、⽇本MOT学会企画委員⻑。2017年から⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授・客員教授。京都在住。
【質問1】ハイテク関連の技術開発において、中国が米国に勝る点はどこでしょうか?
【回答】中国は国家政策による「数」で勝る。科学論文数と国際特許出願数は世界1位、国際規格提案数も1位。ハイテク生産への「爆投資」で1位へ
【質問2】ハイテク関連の技術開発において、米国が中国に勝る点はどこでしょうか?
【回答】米国は「質」で勝る。GAFAのイノベーション力は世界トップ4を独占。やはり、シリコンバレーのエコシステムが勝因
【質問3】米中のハイテク分野でのデカップリングによって、日本のハイテク関連産業にはいかなる影響が及ぶと思われますか?
【回答】中国外移管で対立をかいくぐり、米国のイノベーション、日本の「知識共創」、中国+アジアでの生産の統合に期待する