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 争う2勢力から距離を置き、狡猾(こうかつ)に振る舞って争いの当事者以上の利益を得ることを意味する「漁夫の利」という言葉がある。米中の2大国が手段を選ばない覇権争いをしている状況を横目にしながら、間に立つ日本は漁夫の利を得られるのでは。こういう論を張る意見を聞くことがある。

 ただし、漁夫の利を得るには、しかも圧倒的な力を持つ2大国の間でそうするためには、状況を俯瞰(ふかん)し、両国それぞれに対して効果的に働くカードを手中にし、なおかつそれを適切に切る高度な振る舞いができなければならない。果たして、今の日本にそんなことができるのだろうか。

 米中覇権争いによって不透明さを増す中国ビジネスの行方と、撤退が避けられなくなった際の方策について議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は服部コンサルティング インターナショナルの服部毅氏である。同氏は、米中のそれぞれに対していい顔をしていられる時期は早晩過ぎ去り、中国からの撤退も選択肢として考えておくべき状況が近づきつつあると指摘している。

(記事構成:伊藤 元昭=エンライト
服部 毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部 毅(はっとり たけし) 大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学 留学、同 集積回路研究所客員研究員なども経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・終身名誉会員。マイナビニュースや日経クロステックなどに、グローバルな見地から半導体・ハイテク産業動向を随時執筆中。近著に「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP社)」「表面・界面技術ハンドブック(NTS社」「半導体・MEMSのための超臨界流体(コロナ社)」がある(共に共著)。
【質問1】現在の中国でのビジネス環境を俯瞰(ふかん)して、日本の製造業企業は、撤退も含めた事業縮小を念頭に置くべき状況にあると思われますか?
【回答】中国市場を販売対象として中国進出しているのなら思わない。それ以外は他国へ移転が望ましい
【質問2】仮に、中国ビジネスからの撤退を想定した備えを検討する際、撤退リスクとして日本の製造業企業が留意すべきことは何でしょうか?
【回答】二束三文の金額で事業を譲渡し、さらに追い銭まで払わされる羽目にならぬように、撤退手続きのプロ集団と綿密に対策を練る
【質問3】中国ビジネスの環境がどのような状況になった時、撤退を決断すべきだと思われますか?
【回答】日米いずれかを選ばねばならない状況が生じて、中国市場以外の市場を選ぶべき場合。あるいは、米中貿易戦争に巻き込まれて強制的に撤退を余儀なくされた場合