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 中国は、進出よりも撤退の方がはるかに難しい。このような指摘は、古くからある。ただし、中国に限らず、しがらみが少ないところに出ていくより、しがらみができたところから退く方が難しくなるのは当たり前だろう。ただ、中国の場合には政治体制や商習慣、価値観などの違いから日本人の想像が及ばない部分が多々あり、それがいつしか「撤退時に身ぐるみ剝がされた」といった都市伝説のような話が多く浮上してくる土壌を生んでいる。実際はどうなのか。人づてに聞いた話だけで判断するのではなく、事実を多く知ることが重要になろう。

 米中覇権争いによって不透明さを増す中国ビジネスの行方と中国からの撤退が避けられなくなった際の方策について議論している今回のテクノ大喜利。4番目の回答者は、数多くの企業の中国進出・事業展開・撤退など幅広い中国コンサルティングに実績を持つ、山田コンサルティングの平井孝明氏である。同氏は、正しい情報の収集と自社の進出目的の明確化、現況把握に基づく冷静かつ客観的な判断の重要性を訴えている。そして、総じて見れば、中国市場の重要性は依然として高いことを強調している。

(記事構成:伊藤 元昭=エンライト
平井 孝明(ひらい たかあき)
山田コンサルティンググループ 経営コンサルティング事業本部 シニアマネージャー
平井 孝明(ひらい たかあき) 独立系総合コンサルファームとして日本最大級の山田コンサルティンググループにて、中国コンサルに従事。中国現地法人の実態把握・業績改善・内部統制、日系企業の中国進出・再編・撤退案件から、クロスボーダーM&A、マーケットやニーズ調査など幅広い業務に携わる。民間企業へのコンサルティング支援に加え、官公庁の中国での調査事業や撤退・ガバナンス・中国事業戦略などのテーマによる講演、執筆多数。
【質問1】現在の中国でのビジネス環境を俯瞰(ふかん)して、日本の製造業企業は、撤退も含めた事業縮小を念頭に置くべき状況にあると思われますか?
【回答】中国事業の拡大余地はなお大きい、引き際の設定が不可欠
【質問2】仮に、中国ビジネスからの撤退を想定した備えを検討する際、撤退リスクとして日本の製造業企業が留意すべきことは何でしょうか?
【回答】不確かな情報で判断することが最大のリスク
【質問3】中国ビジネスの環境がどのような状況になった時、撤退を決断すべきだと思われますか?
【回答】当初の中国事業の目的が達成できなくなった時が引き際