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 激しい米中覇権争いの余波を受けて、当事国の企業だけでなく、他国も中国ビジネスの継続が危うくなってきている。既に、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)や韓国のSamsung Electronics(サムスン電子)など半導体や液晶パネルのメーカーが、大口顧客の中国Huawei Technologies(ファーウェイ)への販売ができなくなった。米国の技術や製品、ソフトウエアを使って作った製品は、たとえ米国企業以外の製品であっても許可なくHuaweiに販売することを禁じる措置を米国が講じ始めたからだ。太いサプライチェーンが、もろくも寸断された。こうした動きは当然、日本企業にも及ぶ可能性が高い。

 Huaweiなど特定企業を対象にした取引の禁止にとどまれば、世界のサプライチェーンはまだ回り続けることができるかもしれない。しかし、対象が中国企業全体にまで拡大してくれば、米国企業や日本企業が中国市場にいる意義を失い、進出していること自体がリスクになる可能性がある。冷戦時代はまさにそんな状況だった。

 米中覇権争いによって不透明さを増す中国ビジネスの行方と中国からの撤退が避けられなくなった際の方策について議論している今回のテクノ大喜利。5番目の回答者は、中国のディスプレー産業などの動きをつぶさに観察し続けているテック・アンド・ビズの北原洋明氏である。同氏は、中国が世界のサプライチェーンの中でいかに大きな位置を占めているのか改めて指摘。製造業企業にとっての中国からの撤退は、もはや廃業に近い意味合いがあることを強調している。

(記事構成:伊藤 元昭=エンライト
北原 洋明(きたはら ひろあき)
テック・アンド・ビズ 代表
北原 洋明(きたはら ひろあき) 半導体製造装置、ディスプレーパネル製造の経験を経て2007年にテック・アンド・ビズを立ち上げ、電子デバイス分野での情報サポートを行っている。製造の主力となっている中国での情報をベースとし、太陽電池、ディスプレーなどの分野で活動してきたが、最近はLEDや半導体その他の電子デバイスにも分野を広げている。中国のディスプレー協会の顧問などの活動も通して日系企業の現地ビジネスのサポートも手がけている。
【質問1】現在の中国でのビジネス環境を俯瞰(ふかん)して、日本の製造業企業は、撤退も含めた事業縮小を念頭に置くべき状況にあると思われますか?
【回答】リスクの中身を正しく分析し、新たなチャンスとして利用すべき
【質問2】仮に、中国ビジネスからの撤退を想定した備えを検討する際、撤退リスクとして日本の製造業企業が留意すべきことは何でしょうか?
【回答】当該事業からの完全撤退か低コスト化ビジネスモデルの根本的修正
【質問3】中国ビジネスの環境がどのような状況になった時、撤退を決断すべきだと思われますか?
【回答】「その時」には世界的なサプライチェーンの変化にのみ込まれる覚悟が必要