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 日本企業での研究開発のテーマがビジネスに直結するものに絞られがちになり、相対的に基礎研究を進める場としての大学の役割が高まっている。ところが、2004年の国立大学法人化以降、それまで大学の運営を支えていた運営交付金、補助金などが減少し、大学が活動するための十分な資金が確保しにくくなった。そして、研究での国際競争力の低下が心配されている。

 ここにきて、新たな資金調達手法を模索する大学が出てきている。2020年8月、東京大学は国内で初めて大学債を発行し、200億円の調達を目指すことを明らかにした。今後10年で1000億円を調達する計画という。さらに、新しい形での産学連携も進められている。これまでの産学連携では、企業が求める技術や知見を持つ大学の研究室に少額の資金を提供し、知恵を拝借するものがほとんどだった。これを大学と企業がキッチリと提携し、資金の規模を大型化し、企業の将来を担う新技術の研究開発を進める動きが出てきている。

 大学の新たな資金調達が進むことで、日本の大学の在り方が大きく変わっていく可能性がある。そこで今回のテクノ大喜利では、日本の大学が模索する研究資金調達の新たな手法の行方と、それによる大学での研究の在り方の変化について議論した。最初の回答者は、アーサー・ディ・リトル・ジャパンの三ツ谷翔太氏である。同氏は、世界の大学が社会・産業を支える公共財としての大学の在り方を模索していることを指摘し、大学の役割、存在意義の再考を促している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)
アーサー・ディ・リトル・ジャパン パートナー
三ツ谷 翔太(みつや しょうた) 世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・ディ・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。GAFAに代表されるグローバルプラットフォーマーが独占的地位を得る時代から、自律分散型の企業モデルが息を吹き返す時代への移行を見通した、フラグメント化する世界 ーGAFAの先へーを日経BP社から出版(共著)。
【質問1】海外の大学に比べて、日本の大学で研究資金が不足しがちになる根本的な原因は何だと思われますか?
【回答】大学の役割に関する思考停止。それが故のエコシステムの機能不全
【質問2】大学債発行や産学連携の大型化、大学発ベンチャーの育成などを推し進めることで、日本の大学における研究の国際競争力は高まると思われますか?
【回答】仕組みだけではなく、魅力づくりが伴わねば競争力は高まらない
【質問3】大学での研究資金調達を後押しするため、国はどのような支援をすべきだと思われますか?
【回答】自己変革のためのきっかけづくり