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 かつて、中国の理工系大学の事情について、集中的に話を聞く機会があった。中国の大学で理工系の大学といえば、清華大学や上海交通大学などが有名で、それら大学の学生の優秀さを語る声は多い。しかし、驚いたのはその点ではなく、学生の数が数万人規模の理工系の大学が多数あることだ。ただ規模と数が多いだけでなく、理工系人材の前途が有望視されていることから、学生の士気はおしなべて高いという。それらの大学には、欧米や日本の有名企業が冠研究室を構え、さまざまな受託研究をしている。

 考えてみてほしい。世界には、プログラミングができる人材、半導体設計ができる人材、材料開発の経験がある人材を毎年数多く産業界に排出している国がある。日本の研究開発の国際競争力を高めるというのは、こうした国と競って優位になるための方策を考えなければならないということだ。

 日本の大学が模索する研究資金調達の新たな手法の行方と、それによる大学での研究のあり方の変化について議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、某理工系大学 電子工学科のいち教授氏である。同氏は、上位校には研究資金が回るが、すべての理工系大学に行き渡らない資金の偏在を指摘。選択と集中と呼べば聞こえがよいかもしれないが、それが国際競争力の醸成につながっているのかという点に疑問を投げかけている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
電子工学科のいち教授(でんしこうがくかのいちきょうじゅ)
某理工系大学 電子工学科 教授
電子工学科のいち教授(でんしこうがくかのいちきょうじゅ) 学生時代は理論物理を専攻。現在は某理工系大学の電子工学科に所属して、研究・教育に従事している。
【質問1】海外の大学に比べて、日本の大学で研究資金が不足しがちになる根本的な原因は何だと思われますか?
【回答】研究資金が潤沢な大学もある。しかし配分に偏りがあり全く回ってこない大学も多い
【質問2】大学債発行や産学連携の大型化、大学発ベンチャーの育成などを推し進めることで、日本の大学における研究の国際競争力は高まると思われますか?
【回答】上位校だけが集金できる手段しかないのでは研究の裾野は狭くなり、結果的に国際競争力の向上には寄与しない
【質問3】大学での研究資金調達を後押しするため、国はどのような支援をすべきだと思われますか?
【回答】資金調達とともに、高校までに学力の高い学生の育成しておくことを望む