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 ビジネスの世界では、事業環境が変われば、強い企業の姿も変わってくる。自動車産業や半導体産業などの製造業において、米国企業が米国で製品を生産し、世界を圧倒していたのは、もう半世紀近くも前のことだ。日本とドイツ、韓国と台湾、そして今は中国と、製造の領域で世界に大きな存在感を示す国や地域は変わっていった。

 かつて、産業革命以降の製造業の覇権国であった英国に米国が取って代わった際には、ベルトコンベヤーを使った流れ作業という生産技術の革新があった。米国が本気で製造業復興を目指すのならば、現在中国で行っているような製造業のあり方をそのまま再現しても勝てないだろう。近未来における時代の要請に応える、新しい製造業のあり方を定義して製造業にイノベーションを起こす必要があるのではないか。同様の取り組みでは、ドイツがIndustry 4.0を打ち出して復権を狙っている。Industry 4.0をも凌駕(りょうが)するような、斬新な生産コンセプトの登場を期待したいところだ。

 米国が進める製造業の復興の動きに、サプライチェーン上にいる日本企業がどのように対処していくべきか、そして世界の産業構造がどのように変わりつつあるのかを議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者はMTElectroResearchの田口眞男氏である。同氏は、製造業復興に向けて米国に期待したいイノベーションを「製造業の再発明」と呼び、その実現の可能性と意義を論じている。

(記事構成は伊藤 元昭=エンライト
田口 眞男(たぐち まさお)
MTElectroResearch 代表
田口 眞男(たぐち まさお) 1976年に富士通研究所に入社とともに半導体デバイスの研究に従事。1988年から富士通で先端DRAMの開発・設計に従事。メモリーセル、高速入出力回路や電源回路などアナログ系の回路を手掛ける。2003年、富士通・AMDによる合弁会社FASL LLCのChief Scientistとなり米国開発チームを率いてReRAM(抵抗変化型メモリー)技術の開発に従事。2007年からSpansion Japan代表取締役社長、2009年には会社更生のため経営者管財人を拝受。エルピーダメモリ技術顧問を経て2011年10月より慶應義塾大学特任教授、2017年4月より同大学の先端科学技術研究センター研究員。技術開発とコンサルティングを請け負うMTElectroResearchを主宰。
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【質問1】米国による半導体の自国製造の強化の動きに対して、日本の製造装置・材料メーカーはどのように対処すべきだと思われますか?
【回答】米国内に投資しサプライチェーンを充実
【質問2】今後、米国による製造業復興の動きは、半導体以外のどのような分野に波及すると思われますか?
【回答】製造業の再発明が付加価値を生むあらゆる分野
【質問3】米国による製造業復興の動きは、世界の産業構造にいかなる影響を及ぼすと思われますか?
【回答】垂直統合体制への揺り戻しが起こる可能性あり