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 通信サービスの役割は、技術の進化と応用市場の変化、さらには時代の要請によって大きく様変わりしている。

 NTTは、公共企業体である日本電信電話公社が民営化してできたという経緯を持っている。公共的な資産を受け継いでおり、競合との公正な競争環境を作り出すという観点から、NTT法(日本電信電話株式会社等に関する法律)によって業務範囲が規制されるなど、他の通信事業者とは違ったビジネス上の制限を受けている。作られた際には合理的な規制であっても、ビジネス環境の変化から実情に沿わない点が多々出てきた。特に、民営化された1985年以降はパソコンの登場、インターネットの普及、スマートフォンの登場などによって、ICT業界の姿は激変した。このため、前時代の遺物のような縛りが残っていたのは事実だ。

 NTTによるNTTドコモの完全子会社化の動きが日本の通信業界に与える影響について議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は、企(くわだて)のクロサカタツヤ氏である。同氏は、世界での通信ビジネスの動きを鑑みながら、NTTグループの国際競争力を高める上でグループ企業再編を進めることの必然性を論じている。

(記事構成は伊藤 元昭=エンライト
クロサカ タツヤ(くろさか たつや)
企(くわだて) 代表取締役
クロサカ タツヤ(くろさか たつや) 慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修士課程修了。学生時代からネットビジネスの企画設計を手がけ、卒業後は三菱総合研究所にて情報通信事業のコンサルティング、IPv6やRFIDなど次世代技術の推進、国内外の政策調査・推進プロジェクトに従事。2008年に株式会社企(くわだて)を設立。現在は同社代表取締役として、通信・放送セクターの経営戦略立案や事業開発を中心としたコンサルティング、資本政策などのアドバイス、また官公庁プロジェクトの支援等を実施。2016年より、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授を兼務。著書に「5Gでビジネスはどう変わるのか」(日経BP、2019年)
【質問1】NTTがドコモを完全子会社化したことで、NTTグループの競争力は高まると思われますか?
【回答】ある程度は高まると考えられる
【質問2】今回のドコモ完全子会社化で、移動体・固定通信の技術開発における国際競争力は高まると思われますか?
【回答】ある程度は高まると考えられる
【質問3】NTTグループ以外で、ドコモの完全子会社化による恩恵を最も大きく受ける企業はどこだと思われますか?
【回答】短期×国内と長期×海外という視点から見れば、恩恵を受ける企業像は明確