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 科学技術は、何もかも米国が世界で一番進んでいると思い込んでいないだろうか。どんなに優秀な人でも不得意分野があるように、米国もまた不得意分野があってしかるべきだ。例えば、環境技術に関しては、過去に深刻な公害問題を抱え、技術によって環境の浄化に成功してきた経験から、日本がリードしている面があるように思える。今では、中国企業などの後塵を拝しているように見える電気自動車(EV)関連も、世界をリードできる技術の素地があるはずだ。

 米国で政権交代が起こり、一度離脱したパリ協定への復帰が見込まれている。米国はそれによって環境技術の開発推進と関連産業の振興を図る目論見だ。しかし、そうした変化の恩恵は、日本企業こそ大きく受けることができる可能性がある。

 米国で発足する新政権の下で、期待したいこと、懸念すること、さらには最も大きな影響を受ける業界・企業について議論したしている今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏である。同氏は、バイデン新大統領の誕生による環境関連産業の振興にフォーカスし、米国政権交代を契機にして日本企業に生まれるチャンスについて論じている。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ)
⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授
中⽥ ⾏彦(なかた ゆきひこ) 神⼾⼤学⼤学院卒業後、シャープに⼊社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間、3年間、⽶国のシャープアメリカ研究所など⽶国勤務。2004年から⽴命館アジア太平洋⼤学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10⽉から2010年3⽉まで、⽶国スタンフォード⼤学客員教授。2015年7⽉から2018年6⽉まで、⽇本MOT学会企画委員⻑。2017年から⽴命館アジア太平洋⼤学 名誉教授・客員教授。2020年から名古屋商科大学非常勤講師。京都在住。
【質問1】バイデン政権下で、電子産業の発展に向けて期待したいことをお聞かせください。
【回答】バイデン政権下で、環境技術を中心とした電子産業の発展に期待する。しかし、日本が発展を享受するには、過去の失敗を覆す環境政策が必要になる
【質問2】バイデン政権下で、電子産業の企業が懸念すべきことをお聞かせください。
【回答】オバマ政権のグリーン・ニューディール政策の失敗事例から、米国の目利き能力が不十分で環境政策が揺れ動くことが懸念される
【質問3】米国での政権交代によって、最も大きな影響を受ける業界・企業はどこだと思われますか?
【回答】最も大きな影響を受けるのは石油業界と自動車業界。石油業界では、米国のシェールオイル会社が淘汰・再編。米自動車業界では、EVシフトで明暗