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 2020年を境にして、世界中の国や地域が、温暖化ガスの排出を無くす方向へとハッキリとかじを切ったように見える。それ以前の取り組みと異なる点は、地球環境を持続化させるためという大義のみに頼った取り組みから、「脱炭素」がビジネスもしくはグローバルな競争力を強化するための国家戦略となってきた点だ。あり体に言えば、脱炭素は、ビジネスとして魅力的に映り始めたのだ。

 コロナ禍によってダメージを受けた自国経済を再興するため、「グリーンリカバリー」をスローガンに掲げてさまざまな規制緩和、公共投資、優遇政策を実施するのが世界のトレンドになっている。こうしたトレンドは、脱炭素がビジネス化できる算段があるからこそ成り立つものだ。日本は、脱炭素の推進に資する多くの技術を持つが、この分野のビジネス化は立ち遅れていた。

 さまざまな視座から2021年の潮流を読む回答者の方々に、注目するトレンドについて聞いている今回のテクノ大喜利。4番目の回答者は、立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏である。同氏は、遅ればせながら脱炭素化の加速を表明した日本政府が作り出す潮流を利用して、この機に脱炭素をキーワードに新たなビジネスを創出することの重要性を強調している。

(記事構成は伊藤 元昭=エンライト
中田 行彦(なかた ゆきひこ)
立命館アジア太平洋大学 名誉教授
中田 行彦(なかた ゆきひこ) 神戸大学大学院卒業後、シャープに入社。以降、33年間勤務。液晶の研究開発に約12年、太陽電池の研究開発に約18年、その間、3年間、米国のシャープアメリカ研究所など米国勤務。2004年から立命館アジア太平洋大学の教授として、技術経営を教育・研究。2009年10月から2010年3月まで、米国スタンフォード大学客員教授。2015年7月から2018年6月まで、日本MOT学会企画委員長。2017年から立命館アジア太平洋大学 名誉教授・客員教授。2020年から名古屋商科大学非常勤講師。京都在住。
【質問1】2020年に起きた電子産業の出来事の中で、最も驚きを感じた動きをお聞かせください。
【回答】2020年にZoomを手掛けるベンチャー企業の株価が6倍以上高騰。それでもZoomはコロナ禍の救世主なので株価に納得
【質問2】2021年に、注目しているビジネストレンドをお聞かせください。
【回答】2021年はビジネストレンド「脱炭素」に注目。世界の動きを注視し、世界と戦う覚悟が必要
【質問3】2021年に、注目している技術トレンドをお聞かせください。
【回答】2021年は「脱炭素破壊的技術」に注目。リチウム硫黄(Li-S)蓄電池、ペロブスカイト太陽電池に期待