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 「コロナ禍が起きる前の世界に早く戻ってほしい」。そう願う人は多いことだろう。ただし、たとえ以前通りの仕事の進め方が可能になったとしても、以前のままの進め方に戻したのでは、ポストコロナ時代では競争力を失うかもしれない。

 今、世界中の人々が、デジタル化した仕事の進め方に適応しつつある。コロナ禍以前から、デジタルトランスフォーメーション(DX)は、高付加価値なビジネスの創出、業務の効率化、働き方改革などの実現手段として欠かせない取り組みとみなされていた。ただしDXは、単にITシステムを導入するだけでなく、デジタル化を前提にした仕事の進め方の改革も求められるため、その実践には、少なからず一時的苦痛と不便が伴った。図らずも、その苦い薬を強制的に飲まされたのがコロナ禍である。コロナ禍が過ぎたからといって、元に戻すのはむしろ愚策だ。

 さまざまな視座から2021年の潮流を読む回答者の方々に、注目するトレンドについて聞いているテクノ大喜利。今回の回答者は、中国のディスプレー産業などの動きをつぶさに観察し続けているテック・アンド・ビズの北原洋明氏である。同氏は、世界に先駆けてコロナ禍の蔓延(まんえん)の抑制に成功した中国は、早くもコロナ禍前のリアルな人の交わりを中心にしたビジネスが再開されるようになったことを指摘。そのうえで、長期間にわたってバーチャルな世界での仕事を余儀なくされている日本や欧米の方が、DXの実践と定着が進む傾向があり、むしろ将来のビジネス競争力が高まるのではないかという、新たな気づきを披露している。

(記事構成は伊藤 元昭=エンライト
北原 洋明(きたはら ひろあき)
テック・アンド・ビズ 代表
北原 洋明(きたはら ひろあき) 半導体製造装置、ディスプレーパネル製造の経験を経て2007年にテック・アンド・ビズを立ち上げ、電子デバイス分野での情報サポートを行っている。製造の主力となっている中国での情報をベースとし、太陽電池、ディスプレーなどの分野で活動してきたが、最近はLEDや半導体その他の電子デバイスにも分野を広げている。中国のディスプレー協会の顧問などの活動も通して日系企業の現地ビジネスのサポートも手がけている。
【質問1】2020年に起きた電子産業の出来事の中で、最も驚きを感じた動きをお聞かせください。
【回答】バーチャル世界に踏み込んだ、サプライチェーン再構築のトリガーが掛かった、の2点
【質問2】2021年に、注目しているビジネストレンドをお聞かせください。
【回答】コロナ禍の2年目に、一時的待避策から恒久的なシステムへと脱皮させた者が将来の勝者になる
【質問3】2021年に、注目している技術トレンドをお聞かせください。
【回答】ディスプレー技術の液晶回帰と桃源郷を目指すマイクロLEDとQD