2021年発足のデジタル庁、日本が生き残る最後のチャンス
[2021年の注目トレンド]企(くわだて) クロサカタツヤ氏
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申請を受け付けても特別定額給付金をいつまでも届けられない行政、顧客から「来ないでください」と言われ無力化する営業担当者、業者の自由な出入りができず製造設備の立ち上げや保守が滞って機能不全に陥った工場……。2020年は、コロナ禍によって、日本の社会や産業が、海外諸国に比べていかにデジタル化で後れを取っているのか、あからさまに露呈した。
日本人は、どこか人の力を過信しすぎているところがあるのではないか。確かに、人手による作業や経験豊富な人の判断の方が、システムによる作業や処理よりもはるかに優れている部分もある。しかし、システムの方が優れている領域も歴然として存在し、技術の進化と利用実績の蓄積で、その領域は年々拡大している。いつまでも人の力だけに頼っていたのでは、日本は世界の平均的な社会活動や産業競争力を維持することすらままならなくなるだろう。そのことを痛感させたコロナ禍での出来事だった。
さまざまな視座から2021年の潮流を読む回答者の方々に、注目するトレンドについて聞いているテクノ大喜利。今回の回答者は、省庁や企業を対象にした通信・放送セクターの経営戦略立案や事業開発に携わる企(くわだて)のクロサカタツヤ氏である。同氏は、2021年9月に発足予定のデジタル庁での取り組みは、諸外国に比べてデジタル化で立ち遅れた日本が21世紀に生き残っていくためのラストチャンスとなるとみている。
クロサカ タツヤ(くろさか たつや)
企 代表取締役

慶應義塾大学大学院(政策・メディア研究科)修士課程修了。学生時代からネットビジネスの企画設計を手がけ、卒業後は三菱総合研究所にて情報通信事業のコンサルティング、IPv6やRFIDなど次世代技術の推進、国内外の政策調査・推進プロジェクトに従事。2008年に企(くわだて)を設立。現在は同社代表取締役として、通信・放送セクターの経営戦略立案や事業開発を中心としたコンサルティング、資本政策などのアドバイス、また官公庁プロジェクトの支援などを実施。2016年より、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授を兼務。著書「5Gでビジネスはどう変わるのか」(日経BP、2019年)。
【質問1】2020年に起きた電子産業の出来事の中で、最も驚きを感じた動きをお聞かせください。
【回答】 MWC中止を尻目に「5Gショーケース」となったコロナ禍の中国
【質問2】2021年に、注目しているビジネストレンドをお聞かせください。
【回答】 デジタル庁発足は日本が21世紀に生き残る最後のチャンス
【質問3】2021年に、注目している技術トレンドをお聞かせください。
【回答】分散型ID(DID)は我々をプラットフォーム事業者の寡占から解放するか