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 今や世界中の先端ロジック半導体の生産を一手に担っている感がある台湾TSMC(台湾積体電路製造)。そんな半導体業界の中核企業が、日本に3D IC向け材料を研究する拠点を開設することを決めた。

 実は、2020年半ば頃から、日本の半導体業界の中には、TSMCが日本に工場を建設するのではないかといった噂が流れていた。デジタルシステムが社会を動かすようになった現在、半導体の調達を他国に頼っていたのでは、豊かで、安全な社会を維持できなくなってきた。そして、世界中の国や地域の政府が、一斉にTSMCなど有力な半導体メーカーに、自国への工場誘致を打診し始めている。

 日本も同様だ。現在の日本には、キオクシアなどメモリーやパワーデバイスに関しては先端チップを開発・生産する拠点がある。しかし、情報処理の中枢となるロジック関係の半導体については、先端チップの開発・生産で世界をリードしていたかつての栄光は見る影もなく失われてしまった。こうした状況を鑑みて、日本政府が海外企業に声掛けしてきた成果が今回のTSMCの研究拠点の設置だという。ただし、TSMCが設置するのは工場ではなくあくまでも研究開発拠点。それも同社が生み出す価値の中心である最先端の前工程ではなく、後工程用材料の研究開発拠点に落ち着く見込みである。その点で、同社が米国アリゾナ州に建設する新工場とは、意味合いも投資額も大きく異なる。

 今回のテクノ大喜利では、日本の半導体産業の再興・強化という目的に向けて、今回のTSMCの研究開発拠点設置はどのような意義、利用価値があるのか議論した。

【質問1】TSMCが日本にR&Dもしくは生産の拠点を置くことによって、日本の半導体産業にはいかなるメリットが生まれると思われますか?
【質問2】世界の半導体サプライチェーンの中で、日本の半導体産業はどのようなポジションを得るべきだと思われますか?
【質問3】TSMCの拠点が日本に置かれることを最大限に活用して、日本の半導体産業を再興・強化するために誰が何をすべきだと思われますか?

 3つの質問に対するそれぞれの識者による回答要旨は、以下の表の通りだ。

表1 テクノ大喜利「TSMC日本拠点の利用価値」回答まとめ
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表1 テクノ大喜利「TSMC日本拠点の利用価値」回答まとめ