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【質問3】日本の総合電機メーカーは、買収した海外IT企業の強みや機能を自社の競争力強化につなげるために何をすべきだと思われますか?
【回答】ハードとソフトは車の両輪なので、ハードとソフトの同時最適化

 かつてソニーが米CBS Records(CBSレコード)を買収することを決めた際、盛田昭夫社長(当時)が社内外に「ハード(自社のAV機器)とソフト(先方の音楽媒体)は車の両輪」であることを強調していた。「MBA出身の金融関係者はソニーが負債を抱えたことを批判して格付けを下げまくっているが、このような判断が間違っていることはいずれはっきりするから安心せよ」と不安がる社員に繰り返し言っていたのが昨日のことのように思い出される。決してハードを捨ててソフトへ移行したわけではない。稼ぎ頭のプレイステーション(PS)ビジネスも同様だ。

 日本の電機メーカーの多くは、半導体をはじめモノの提供からソフトウエアなどサービスの提供にかじを切ろうとしている。先駆者である米IBM(回答者後記参照)やGeneral Electricを表面的にまねしようとしているのだろうか。

 日立は早々と半導体事業から撤退し、最近まで半導体事業を抱えていたパナソニックも半導体工場を含めて事業をまるごと台湾勢に売却してしまった。東芝は、2021年に入ってもシステムLSI事業からの撤退で多数の技術者をリストラした。梶山弘志経済産業大臣が今ごろ「半導体は国の命運を握る」と言い出しているが、手遅れ感は否めない。

 米Apple(アップル)が、iPhone向けの最新ソフトウエアを走らせるために、毎年、最先端の半導体微細化技術を真っ先に採用した最高性能の半導体プロセッサーを自社開発し搭載し続けていることや、GAFA(米Google、Amazon.com、米Facebook、Apple)のようなIT企業が多数の半導体技術者を抱えてことごとく自社独自の半導体チップを開発していることから分かるように、他社と差異化できる先端のソフトウエアを動かすためにはそれなりのハードウエアが必要になる。ハードの提供からソフトの提供へ180度舵(かじ)を切るのは正しい選択とは言えず、競争力上からも得策ではないと思う(後記参照)。