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【回答者後記】IBMはサービス差異化のために先端半導体研究に注力

 本稿締め切り直前の2021年5月6日(米国時間)、米IBMが2nmプロセスを用いた半導体チップの開発に世界で初めて成功したというニュースが飛び込んできた。台湾のTSMC(台湾積体電路製造)、韓国のSamsung Electronics(サムスン電子)、米Intel(インテル)の三つ巴(どもえ)の最先端微細化競争に目を奪われて、IBMが最先端半導体開発に取り組んでいたことをすっかり忘れていた。

 そういえば、5年以上前に日経エレクトロニクス誌の依頼で、IBMの半導体事業の米GLOBALFOUNDRIES(グローバルファウンドリーズ)への譲渡と先端半導体研究開発への注力に関して長文の解説記事1) を書いたのを思い出した。そこでは、IBMが、HDD、パソコン、x86サーバー、半導体製造などハードウエア事業を次々と売却し、事業の主体をハードウエアからソフトウエアを活用したサービスに移す一方で、日本の電機メーカーとは異なり、先端半導体プロセス・デバイス研究部門を強化し、先端半導体研究にむしろ今まで以上に注力していることについて、IBMがそのように決めた理由を7ページにわたり詳しく分析した。

 日本企業に先んじてサービス業に軸足を移したIBMが今回発表した世界初2nmプロセスを用いた半導体デバイスの実用化は、だいぶ先になりそうだ。IBMは、今までも独自の先進チップを搭載したコグニティブコンピューテイングによるコンサルティングなどユニークなビジネス展開をしてきたが、今後、世界一高性能なチップを用いたどんなコンピューティングツールでどのようなソフトウエアを走らせて顧客サービスに活用して差異化を図ろうとするのか注目される。

■参考文献
1)服部毅「解説:IBMの事業譲渡に見る先進半導体企業の将来」、日経エレクトロニクス、2014.12.08、pp.47-53