全5305文字
PR
【質問2】IDM2.0に端を発する業界の変革で、現在顕在化している半導体不足のような現象の常態化や地政学的リスクが解消すると思われますか?
【回答】変わるが、米中摩擦などサプライチェーン変化が要因になる

 IDM2.0が半導体業界をどれくらい変革するかは不明だし、Intelのファウンドリー・サービスであるIFSが、どのような範囲や分野をターゲットにしているかも不明である。ただし、それが下図のように、ロジック半導体で最先端ではなく、台湾UMCや中国SMICが担う領域であり、そこで供給量が増えれば、構造的なタイト感は薄まるだろう。

 現在の不足の原因には、米中摩擦の中で、SMICを回避することによるUMCなどへの集中もある。米政府が期待したといわれる微細加工レベルは高くはないが、特殊なプロセスが要求される場合や、ルネサス エレクトロニクスが担う自動車用マイコンには対応可能だろう。また、IDM化が進むことで、台湾勢、中でもTSMCへの過度な依存が薄まれば、不足が解消に向かう可能性もある。

図4 Intelのファウンドリー・サービスが最先端領域以外を狙うのなら、半導体不足の解消に寄与
[画像のクリックで拡大表示]
図4 Intelのファウンドリー・サービスが最先端領域以外を狙うのなら、半導体不足の解消に寄与
出典:筆者が作成

 このIDM2.0が各社に広がり、過度なファウンドリー集中が薄まり、各社がファウンドリーかIDMかという二者択一でなく、各国が地産地消の中、ある程度IDMに復帰する中でバランスは取れていく。今後、米中対立は長期化し、新型コロナウイルスなど感染症リスクも考えると、過去20年間のような、効率やコストを最重視して構築した、生産地と消費地が遠い、そして米Apple(アップル)アップルのエコシステムに代表される複雑なサプライチェーンが立ち行かなくなる可能性がある。

図5 米中対立とコロナ禍それぞれのリスクの度合いによって社会や経済のあり様が変わってくる
[画像のクリックで拡大表示]
図5 米中対立とコロナ禍それぞれのリスクの度合いによって社会や経済のあり様が変わってくる
出典:筆者が作成