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 極端紫外線(EUV)露光技術の実用化によって、半導体の微細加工技術の継続的進化にメドが立ってきた。ただし一方で、微細加工技術さえ進化すれば、半導体の価値が高まる時代は終わりつつある。微細加工技術の進化による素子性能の向上を、チップの高性能化につなげるためには、チップレットの導入や2.5D/3D化に欠かせない後工程の技術のさらなる高度化が必須になっている。

 2022年の電子業界、IT業界で注目したい潮流・技術・企業を、それぞれの分野・視座から産業界に関わっている有識者に挙げてもらうテクノ大喜利。今回の回答者は、半導体業界の動向をウオッチしているGrossbergの大山 聡氏である。同氏は、2021年に台湾TSMCが日本に研究開発拠点を置くことが決まり話題になった半導体の後工程の動きに注目し、今後の動きを注視する際の論点を挙げた。

(記事構成は伊藤 元昭=エンライト)
大山 聡(おおやま さとる)
Grossberg 代表
大山 聡(おおやま さとる) 1985年東京エレクトロン入社。1996年から2004年までABNアムロ証券、リーマン・ブラザーズ証券などで産業エレクトロニクス分野のアナリストを務めた後、富士通に転職、半導体部門の経営戦略に従事。2010年よりIHS Markitで、半導体をはじめとしたエレクトロニクス分野全般の調査・分析を担当。2017年9月に同社を退社し、同年10月からコンサルティング会社Grossberg合同会社に専任。
【質問1】2022年、注目したいビジネスや技術開発の潮流を挙げてください。
【回答】後工程を含む半導体デバイスの多層化

 半導体プロセスの微細化は、現在も継続中であり、EUVを光源とする露光装置の出荷台数も伸びている。こうした中で、筆者は、後工程を含めたデバイスの多層化、いわゆる2.5D/3D化に注目したい。

 2021年2月、TSMCが茨城県つくば市に後工程の開発拠点を設立すると発表した時点では、もともと前工程(ウエハー工程)専業の同社が後工程の開発にも注力すること、しかもその拠点を日本に設立することが大きく報道され、日本政府が同社の誘致に動いていたことも話題を呼んだ。開発拠点ということで、量産およびサプライチェーンには直接影響はないが、日系の企業や研究機関との連携が行いやすくなる点では今後の動きにも期待できるだろう。

 いわゆる2.5Dパッケージは、複数のチップを微細化対応可能なインターポーザー基板で接続するケースが多い。TSMC以外にも韓国Samsung Electronics(サムスン電子)、米Amkor Technology(アムコー・テクノロジー)などが手掛けているが、米Intel(インテル)もコストダウンを目指して、微細なインターポーザー基板を複数枚内蔵させたブリッジ型(EMIB)を開発。サーバー機向けなどに出荷している。

 2.5Dパッケージは、TSV(Through Silicon Via)でDRAMとロジックICを接合する事例が多く、サーバー機向けやAI(人工知能)アクセラレーター、ゲーム機などに活用されている。Amkorなど後工程のテストの受託企業(Outsourced Semiconductor Assembly & Test:OSAT)がこの技術を提供するケースもあるが、100億円規模の投資を必要とするため、OSATよりも企業体力で勝るファウンドリーから提供されるケースが今後増えることが予想される。

 5G(第5世代移動通信システム)のインフラ普及とともに、IoT(Internet of Things)の実用などが増えれば、基地局やデータセンターにおけるデータの高速処理はますます重要になる。このため、2.5DパッケージでDRAMとCPU(あるいはGPU)を組み合わせる事例は今後飛躍的に伸びることが予想されよう。