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 米Facebook(フェイスブック)が社名を米Meta Platforms(メタ・プラットフォームズ)に変更して以来、「メタバース」という言葉がメディアや様々な場所で頻繁に語られるようになった。巨大IT企業であるGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)はもとより、AR/VR(拡張現実/仮想現実)などで独自の技術やサービスを開発・提供する多くのスタートアップにも、多様な成長機会をもたらすのではないかと期待されている。

 その一方で、メタバースに対する懸念や疑念も、早くも聞かれるようにもなった。超国家的経済圏を生みかねないことから、それを危険視する各国政府が早々に規制に乗り出す可能性があるのではという見方も出てきている。

 今回のテクノ大喜利では、2022年の話題の一つになると思われるメタバースを論じ、市場の見通しを考える際の論点を、期待とリスクの両面からブレーンストーミングした。最初の回答者は、元 某ハイテクメーカーの半導体産業OB氏である。同氏は、端末の機能や性能が飽和し、さらには目新しいアプリケーションが生まれにくくなったスマートフォンを再び盛り上げる要因としてのメタバースのインパクトを論じている。

(記事構成は伊藤 元昭=エンライト)
半導体産業OB(はんどうたいさんぎょうOB)
某社リサーチャー
半導体産業OB(はんどうたいさんぎょうOB) 半導体産業をはじめとする電子産業全般で豊富な知見を持つ某ハイテクメーカーのOB。某国公認会計士でもある。現在は某社でリサーチャーを務め、市場の動きをつぶさにウオッチしている。
【質問1】メタバースのキラーアプリは何だと思われますか?
【回答】ゲーム

 ゲームが楽しいのは、特定ミッションや課題を達成することによってドーパミンが分泌され、一種の中毒状態になることが理由である。そして、メタバースゲームは、没入感が通常のゲームの比ではない。まさに、ユーザーを虜(とりこ)にして、財布のひもを開かせるキラーアプリとなろう。

 しかし、ゲーム業界やソフトハウスがたどってきた道は平たんどころか、非常に厳しく険しい道であり、ヒット作を連発していたソフトハウスが倒産した例は枚挙にいとまが無い。それは続編のわなが理由である。

 大ヒット作となったゲームは、ユーザーが続編を求める。そして、ファンが続編に求めるのは、前作の20~30%のスペックアップではなく、数倍の進化なのだ。結果、開発費は膨れ上がる。そして、ゲームは高度化、複雑化し、ライトユーザーは離脱し、最後にはマニアにも飽きられ、投資回収できなくなり、終焉(しゅうえん)を迎える。場合によっては、会社自体が終焉してしまうというのが続編のわなである。

 スマホゲームは、課金ガチャによって過去の売り切り型ゲームよりも収益基盤が強化されている。また、かつてのどのゲームハードよりもとっつきやすいので、急成長している。メタバースゲームは、続編のわなについても、当分は心配する必要がない。目下、メタバースへの没入感にはまだまだ改善の余地がある。ユーザーから見たメタバースゲームの技術進化である、ユーザーインターフェースの改善は当面続くだろう。そして、進化している間は、ゲームの敷居を下げる効果と、よりメタバース世界での臨場感を高める効果を発揮する。